SAS Institute Japanは6月18日、顧客分析/マーケティング・ソリューション製品群の新版「SAS Customer Intelligence 6.1」(以下、CI6.1)の国内提供を開始すると発表した。これまで個別に提供してきた4種類のマーケティング・アナリティクス製品群を1つのプラットフォームに統合し、UIなどを刷新している。
SAS Institute Japan ビジネス推進本部 CIプラクティス・リード 高橋昌樹氏 |
CI6.1の発表会で何度も強調されたのが、「顧客を中心に据えた統合マーケティングマネジメント」である。SAS Institute Japan ビジネス推進本部 CIプラクティス・リード 高橋昌樹氏は次のように語り、その重要性を訴求する。
「ビジネスを拡大させるうえで最も大切なのは、お客様にとって好ましい方法で提案やサポートを行うこと。マーケティング向けのソリューションとしては、メールマーケティングや、データベースマーケティング、1to1マーケティング、キャンペーンマネジメントなど、さまざまなものがあるが、これらを個別に実施していては、お客様を立体的に捉えることはできない」
こうした考えの下、今回発表されたCI6.1では、「SAS Marketing Automation」、「SAS Marketing Optimization」、「SAS Real-Time Decision Manager」、「SAS Digital Marketing」の4製品を統合。画面を切り替えることなく、左カラムのメニューを選ぶだけで、目的の施策/分析画面にたどり着けるUIになった。
また、オンラインでのマーケティング活動とオフラインでのマーケティング活動を組み合わせて分析できる機能も搭載。Webサイト上でのユーザー行動データをリアルタイムに取得したうえで、実店舗での購入履歴などと組み合わせて顧客を解析し、有益な提案を行ったり、Webでのマーケティング効果を正確に把握することが可能という。
そのほか、CI6.1ではコラボレーション機能も提供。企画意図や反応を書き込め、プランナーと実行者の間で情報共有することも容易になっている。
住所なども照らし合わせて超富裕層を特定
SAS Institute 北アジア地域担当 Customer Intelligence プラクティス・リードのEric Sandosham氏 |
発表会では、米SAS Institute 北アジア地域担当 Customer Intelligence プラクティス・リードのEric Sandosham氏により、顧客を中心としたマーケティング活動の先進事例も紹介された。
少し前までSAS最大(現在は2番目)の顧客だったというCitybankにおいては、富裕層の顧客拡大が大きなテーマだったという。そこで、収益性15倍アップを目指し、富裕層をさらにセグメント化。超富裕層、富裕層、ニューリストなどに分け、ターゲットのさらなる明確化を図った。
分類作業においては、単純に運用資産額や貯蓄額だけを見るのではなく、住所やクレジットビューローの引当額など、あらゆる情報を組み合わせて判定した。その中から超富裕層を重点顧客に設定し、対話式でハイバリューの提案を行ったという。
さらに、Sandosham氏は、「積極的に試みたクロスセルも有効だった」と振り返る。「それまで預金部門とクレジット部門の提案は、顧客の資金を奪い合うものと想定されていたが、双方のクロスセルを実施した結果、預金額が20%増、クレジットカード利用(支出)額が60%増という効果が得られた」という。そのうえ、顧客の解約率も下がるなど、全体としての成果が大きかったことが明かされた。
Citybankでは、こうした活動により、全体の収益の25%に分析チームが貢献していると効果を算出。投資対効果は50倍にも上り、現在14カ国で320人のアナリストが働いているという。