岡山大学は6月17日、抗酸化物質の1つであるコエンザイムQ10(rCoQ10)の歯茎への塗布により、歯茎の加齢変化を抑制できることを発見したと発表した。
同成果は同大 大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学 教授、東哲司 助教、粕山健太 大学院生、町田達哉 大学院生、米田俊樹 大学院生、岡山大学病院予防歯科の友藤孝明 講師、江國大輔 講師、遠藤康正 医員らによるもの。詳細は米国の歯学系科学雑誌「Journal of Dental Research」電子版に掲載された。
コエンザイムQ10はビタミン様で親油性分子で、その還元型は抗酸化作用があることが知られており、これまでの研究から、皮膚における抗加齢効果が報告されている。
今回研究グループは、ラットを、コエンザイムQ10を含んだ軟膏を歯茎に塗布した群と、コエンザイムQ10を含まない軟膏を歯茎に塗布した群の2つの群に分け、2カ月間の塗布実験を行った。
その結果、コエンザイムQ10を塗布したラットは、塗布していないラットと比べて、歯茎の酸化ストレスが抑えられていることが確認されたほか、歯茎において骨吸収を促進させる細胞も塗布した方が、塗布しなかった方に比べ少なくなっていることが確認されたという。
これまでの研究から、骨吸収を含む加齢変化には、酸化ストレスが関わることが知られているが、今回の成果は、コエンザイムQ10を歯茎に塗布することで、その酸化ストレスを抑制することができ、その結果として加齢に伴う骨吸収が抑えられる可能性を示唆するものだと研究グループでは説明しており、今後、コエンザイムQ10を口腔ケア用品に応用することで歯茎のアンチエイジングを行うことが可能となり、口腔内の健康の維持・増進に寄与することが期待されるようになるとコメントしている。