シャープは6月14日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環で、世界最高の集光時セル変換効率44.4%を、化合物3接合型太陽電池で達成したと発表した。
地球的なエネルギー問題の解決に向け、太陽光発電に対する期待が高まっているが、さらなる普及のためには、変換効率などの性能を向上させるとともに、太陽電池の低コスト化が重要になってくる。そうした中、NEDOでは2030年以降の長期的視野に立ち、国内の知見・技術を結集して、新材料・新規構造などを利用した革新的な太陽光発電技術の開発を進めている。
現在、導入されている太陽電池の約80%を占めるシリコン結晶の太陽電池は、市販製品で最高20%程度の変換効率を有している。太陽光発電をさらに普及させていくためには、狭い面積でも十分な発電量が得られるように、変換効率を向上させていくことが重要なポイントとなる。
NEDOは、将来の高効率太陽電池の1つである化合物太陽電池の開発をシャープに委託して進め、2012年4月に化合物3接合型太陽電池で集光時セル変換効率43.5%まで高めることに成功していた。今回、新たに受光面と電極を繋ぐコンタクト層の形成処理を最適化し、受光する面積を広げることで、太陽電池の最大出力を向上させ、変換効率アップを実現したという。
なお研究グループでは、プロジェクトの目標である「モジュール変換効率40%超」の達成に向け、今後は、さらなる効率向上を進めるとともに、実用化へ向けたコスト低減などの技術開発を進めていく予定としている。そのため、NEDOでは、同プロジェクトで、2014年度までに変換効率48%以上の超高効率セルを実現し、実用化技術の開発を加えることで2030年をめどに既存電源並みの発電コストの達成を目指すとしている。