独ハンブルグで開催されている「International Supercomputing Conference(2013 国際スーパーコンピュータ会議)」において6月17日(独時間)、スーパーコンピュータ(スパコン)処理能力ランキング「TOP500」の2013年6月版が発表された。
41回目の発表となる今回は、中国National University of Defense Technologyの「Tianhe-2(Milky Way-2/天河2号)」が、前回1位(2012年11月発表)であった米オークリッジ国立研究所(ORNL)の「Titan」の倍近い33.8627PFlops(Titanは前回同様の17.590PFlops)という性能を達成し、1位となった。
中国のスパコンが世界トップとなるのは2010年11月版のTOP500以来のこと。今回のシステムは、1ノードあたり「Xeon E5-2692(2.2GHz、12コア)」(Ivy Bridge)×2、コプロセッサ「Xeon Phi 31S1P」×3の構成で、それを1万6000ノード、演算コアにして合計312万コアを搭載することで実現したもの。理論演算性能は54.902PFlopsとなっているほか、消費電力は1万7808kWで、2位のTitan(8209kW)と比べ、2倍以上消費している。
3位には、前回から1PFlops近く性能を向上させた米ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)に設置されたIBMの「BlueGene/Q(BG/Q)」を157万2864コア用いた「Sequoia」(今回のLINPACKベンチマークは17.173PFlops)が、4位には前回3位だった日本の「京」が10.510PFlopsでそれぞれランクインしたほか、5位以下は、5位が前回4位の米アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)の「Mira」(8.586PFlops)、6位が前回7位の米テキサス大学の「Stampede」(5.168PFlops)、7位が前回5位の独Forschungszentrum Juelich(FZJ)の「JUQUEEN」(5.009PFlops)、8位が前回65位であったDOE(米国エネルギー省)/NNSA(米国国家核安全保障局)/LLNLの「Vulcan」(4.293PFlops)、9位が前回6位の独Leibniz Rechenzentrumの「SuperMUC」(2.897PFlops)、そして10位が中国National Supercomputing Center in Tianjin(NSCC)の「Tianhe-1A(天河1A)」(2.566PFlops)となった。
トップ10のシステムをCPU別にみると、IBMのBlueGene/Qを採用したのが3位の「Sequoia」、5位の「Mira」、7位の「JUQUEEN」、8位の「Vulcan」の4システム。Intel Xeonを採用したのが1位の「Tianhe-2」、6位の「Stampede」、9位の「SuperMUC」、10位の「Tianhe-1A」の4システムで、このうち、「Tianhe-2」と「Stampede」はXeon Phiとのハイブリッド構成を、「Tianhe-1A」はNVIDIAのGPUとのハイブリッド構成を採用している。そして4位の「京」がSPARC64 VIIIfxを、2位の「Titan」がAMD OpteronとNVIDIA GPU(K20x)のハイブリッド構成をそれぞれ採用している。
CPU+GPUのハイブリッド構成を採用したシステムは500システム中54システムで、前回の62システムから減少した。採用GPU/コプロセッサとしては、NVIDIA GPUが39システム、AMD(ATI) Radeonが3システム、そしてIntel Xeon Phiが11システムとなった。また、マルチコアプロセッサを採用したシステムとしては、6コア以上のコアを搭載したCPUを用いたシステムは全体の88%、8コア以上のコアを搭載したCPUを用いたシステムは全体の67%となった。
一方、国・地域別で見ると、米国が252システムでトップ。次いでアジア・太平洋が119システム、そして欧州が112システムとなっている。なお、日本勢は4位の京のほか、20位に国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)の「Helios」(1.237PFlops)(前回15位)、21位に東京工業大学(東工大)の「TSUBAME 2.0」(1.192PFlops)(前回17位)、26位に東京大学情報基盤センターの「Oakleaf-FX」(1.043PFlos)(前回21位)がそれぞれ1PFlos超えのシステムとしてランクインしている。