さくらインターネットは6月17日、住友電気工業、中部大学、千代田化工建設と共同で、経済産業省より北海道石狩市石狩湾新港地域において、高温超電導直流送電システムを試作し、実系統等から直流による通電試験を行う「高温超電導直流送電システムの実証研究」を2013年3月29日付で受託したと発表した。
高温超電導直流送電システムとは、新たに開発された高温超電導材料により、液体窒素温度(セ氏マイナス196度)で超電導特性を得ることができる送電システム。従来の超電導材料で電気抵抗をゼロにするためには、セ氏マイナス269度程度に冷却しなければならず、冷却に液体ヘリウムが必要でコストが嵩むという問題があった。今回、高温超電導材料を使用することにより、以前よりも低コストで長距離の超伝導送電が可能になるという。
同事業では、中部大学、住友電気工業が研究開発、蓄積してきた高温超電導や直流送電システムに係る技術等を活用し、千代田化工が持つプロジェクトマネジメント機能や冷熱技術により、送電距離世界一の高温超電導直流送電システムを構築。また、実証実験の施設として、さくらインターネットの石狩データセンターを使用している。
事業概要としては、約500mと2km以上の2つの回線を北海道石狩市石狩湾新港地域に設置。約500mの回線は太陽電池等直流電源設備からの送電確認を行い、2km以上では交流変電所等からの送電システムを設計・製作し、送電ケーブルの敷設および冷却システムの建設を行う。
なお、委託元は経済産業省、事業内容は高温超電導直流送電システムの設計・製作・設置・試験、受託金額は約25億円、建設予定地は北海道石狩市石狩湾新港地域、建設計画は2013年度に現場建設工事開始、2014年度より一部実証運転開始(予定)となっている。