Dellは6月3日、トルコ・イスタンブールで女性起業家を支援するイベント「Dell Women's Entrepreneur Network(DWEN)」を開催した。前日夜のオープニングセッションでは同社の最高マーケティング責任者のKaren Quintos氏が登壇。「2015年に100万人の女性起業家にリーチする」と目標を掲げた。
DWENは女性起業家や経営者向けの招待制の年次イベント。成功事例の共有やネットワークを通じて女性起業家の支援を目的としている。初めて開催された2010年には75人だった参加者が、4回目となる今年は約160人に拡大、世界13カ国から女性起業家が集まった。
Dellがなぜ起業家を支援するのか? Quintos氏は、Dell自身が創業者兼CEOのMichael Dell氏の起業に遡る点を指摘する。
「(企業としての)Dellは、誰もがPCを利用できるべきだという思想のもとに生まれた。企業は技術を利用して成長できると信じている」とQuintos氏。
女性の社会進出と経済効果との相関性を指摘する調査は数多い。Quintos氏は、ベンチャー企業は雇用創出や経済の成長エンジンとして重要な役割を果たしていると述べる。DWENなどのイベントだけでなく、DellはLinkedInなどのソーシャルメディアを通じて女性起業家にリーチし、資本へのアクセス、成長・拡大戦略の支援、ソーシャルメディアの活用、デジタルマーケティングなどの情報提供といった支援を行っている。「技術はイノベーションの中核。(女性起業家を支援することで)我々も一緒に成長できる」(Quintos氏)。
初回から参加者が2倍以上になった今、DellはDWENを一歩進め「Pay It Forward(広げる)」をテーマに、一人一人の支援から、各自が起業家精神、ノウハウ、学んだことなどを他の人に伝えようと呼びかけた。具体的には、2015年に100万人の女性起業家にリーチするという目標を打ち出した。波及効果により1人が10人に影響を与えることで、「リーチが広がり影響を拡散できる」とQuintos氏は言う。
そのハブの役割を果たすのが、Dellが同イベントにあわせてベータ版を公開したポータルサイト「Pay It Forward」だ。他の女性起業家とのネットワークの場、時間や資金、アイディアなどさまざまな助け合いの場となることを目指す。
Quitos氏はまた、Dell社内の取り組みとして「WISE(Women in Search of Excellence)」というプログラムを紹介。トレーニングやセミナーなどのキャリアサポートなどを用意しており、女性社員の活用やリテンションを高める効果もあるという。
その後のパネルでは、Hillary Clinton氏の国務長官時に首席補佐官を勤めたCheryl Mills氏、国連財団で初の客員起業(Entrepreneur in Residence)となったElizabeth Gore氏、イベントを協賛する米Intelでトルコおよび中東・アフリカ地区ボードメンバーを勤めるAysegul Ildeniz氏が、女性と仕事、雇用、起業などについて話した。
Mills氏は女性と技術の接点としてのモバイル端末が大きなインパクトを持つことを指摘。2010年のハイチ地震でモバイルを利用した災害復旧や支援活動がその後のハリケーンサンディでも利用されたこと、途上国でのヘルスケアで利用されつつあるなどの例を挙げた。
Gore氏は女性と教育の重要性を強調、就学率をアップさせるなど少女たちをターゲットとした取り組み「Girls Up」について紹介した。学校に行くと、その後の報酬が12%改善するが、就学率が依然として低いと課題を示した。IntelのIldeniz氏は、技術というツールを活用できる時代になったとし、政府だけではなく、企業も責任があると述べた。