日立製作所と慶應義塾大学(慶応大)は、3歳から6歳未満の子ども約80人を対象にしたブロック組み立ての調査から、形状や模様の有無に応じて、成長段階によって組み立て能力に差が生じることを見出したと発表した。
日立と慶応大は、バンダイが2011年4月に発売を開始した脳科学の知見に基づいたブロック玩具「BlockLabo ビークルブロックシリーズ」の開発に協力しており、日立が脳科学に基づいて、乗り物をモチーフにした玩具において形状や模様の有無などによる組み立てやすさについて検証を担当していた。
今回の調査は、慶応大 論理と感性のグローバル研究センター「赤ちゃんラボ」と日立が共同研究として、調査にサクセスアカデミーの協力を得る形で実施されたもので、3歳から6歳未満の子ども約80人を対象に、作品例を模倣して組み立てるという行程において、作品例と同じ形状を最後まで組み立てられる子どもが何人いるかという「達成率」と、子どもがブロックの組み立てにかかった「所要時間」を検証し、形状や模様の有無などによる比較が行われた。
その結果、3歳から4歳未満の子どもがビークルブロックで作る新幹線の達成率が20%から50%未満だったのに対して、4歳から6歳未満の子どもは、80%以上の達成率になることや、3歳から4歳未満の子どもがビークルブロックで作るパトカーの達成率が20%から50%未満だったのに対し、4歳から6歳未満の子どもは、50%から80%未満の達成率になること、3歳から6歳未満の子どもが、新幹線・パトカーという同じモチーフの玩具のカテゴリで、ビークルブロック、一般的なブロック、ミニカー・鉄道車両の模型を同じ時間遊んだ後でもう一度遊ばせると、達成率に関わらず多くの子どもがビークルブロックを選び、長く遊ぶことなどが判明したという。
また、建築物の作品例の達成率を比較したところ、3歳から4歳未満の子どもが作る建築物の達成率が50%から80%未満だったのに対して、4歳から6歳未満の子どもは、80%以上の達成率になることも判明したほか、模様の有無による組み立て時間の比較についての検証を行ったところ、模様がある建築物は、子どもの年齢が4歳を過ぎてから組み立て時間が短くなることが判明し、子どもの組み立て能力が成長に伴い発達していることが示されたとする。
さらに、この年代の子どもは少し難しい玩具を選ぶことも確認されたとのことで、子どもの成長につれてブロックの遊び方も進化していくことが示されたと研究グループでは説明している。
なお、脳科学分野では、人間の脳機能の理解を目的として、脳を計測する神経科学分野だけではなく、内外の刺激に対する行動的反応から精神や認知機能を解明する心理学や認知科学的手法などが活用されており、今回の調査でも、子どもが発達に応じたブロック遊びを脳科学でよく使われる認知科学的手法を用いて検証する形のものとなっており、今後も研究グループは連携して研究を進めていくほか、さまざまな分野においてパートナー企業との連携を図り、脳科学をものづくりに活用していきたいとしている。