A10ネットワークスは5月30日、A10の独自OSである「ACOS(エーコス)」の最新バージョンACOS 2.7.1を搭載したADC(Application Delivery Controller、ロードバランサ)「Thunder 6430S/6430」、「Thunder 5430S」を発表した。7月中の提供開始を予定している。
Thunderは、これまで同社が提供してきた「AX」シリーズの上位モデルに位置づけられ、同社のフラグシップモデル。全ラインナップで10Gポートを標準搭載し、ハイエンドモデルの「Thunder 6430S/6430」は、1RU(ラックユニット)のコンパクトな筐体に40Gポートを搭載し、150Gbpsのアプリケーションスループットを実現する。
6430S/6430と違いは、SSLアクセラレーションハードェア搭載の有無。最後のSがSSLアクセラレーションを示す。価格は、「Thunder 6430S」が5,199万9,000円、「Thunder 6430」が4,799万9,000円。
一方、「Thunder 5430S」は、280万L4 CPSと77Gbpsのアプリケーションスループットを1 RUで実現し、価格は2,200万円。
なお、同社では、仮想環境での利用を想定したソフトウェア製品「vThunder」も提供。「vThunder」は、アプライアンス製品と同じ機能セットを提供し、VMware、Hyper-V、KVM、Xenのハイパーバイザーを選択して動作させることができる。vThunderは、ローエンド/ラボ版で200Mbps以上、ハイエンド版で最大8Gbpsのパフォーマンスを提供するという。vThunderは、2013年7月中の提供開始を予定している。
AXシリーズの上位モデルのThunderをリリースした背景を、A10ネットワークス チャネルプロモーション&マーケティング本部 マーケティングマネージャ 高木真吾氏は、「世界のモバイルデバイスの数は60億に達し、今後も増え続け、より大規模なネットワークが必要になるほか、セキュリティ対策もしていかなければならい。そのため、コンパクトでハイパフォーマンス、さらにセキュリティを強化した製品が求められている。A10の製品を採用すれば、他社の1/7のスペースで済む」と語った。
新製品は、DDoS防御とL4の処理をCPUとは別にハードウェア処理する最新のFlexible Traffic ASIC-3(FTA-3)を搭載。FTA-3は、DDoSプロテクション性能を同社のAX5200-11の5千万SYN/Secから、4倍の2億SYN/Secに処理能力を強化している(ただし、搭載するASICの数も倍になっているので、ASIC単体の性能としては2倍となる)。
また、同日リリースされたACOS 2.7.1では、セキュリティ機能を強化し、SQLインジェクションやバッファオーバーフローを防御する「Web Application FireWall(WAF)」の機能や、アプリケーションを利用する際のID、パスワードによる認証機能「Application Access Management(AAM)」など、160以上の機能を追加しているという。
A10ネットワークス 代表取締役社長兼CEO 小枝逸人氏は、「 マーケットは非常に変化しており、ビッグデータに代表されるクラウドは、モバイルインターネットが大幅に増えている。これがA10が伸びている秘訣だ。また、IPv4のアドレスが枯渇し、IPv6への移行が進んでいる。これはA10にとっては、ものすごいマーケットのポテンシャルがある。ACOSは柔軟性を持ったOSで、市場の変化にスピーディに対応し、顧客のコストを抑えた導入を可能にしている。また、モジュール化されており、オールインワンであるため、SDNや仮想化などの新たなソリューションを、追加のライセンス費用なしに導入できる。このように、マーケットのニーズを積極的に取り入れることができるのはソフトウェアだからだ。そのため、A10は他社より2年以上先行しており、このアドバンテージを生かして、マーケットを拡大していきたい」と述べた。
同社では、ACOSにADC以外にさまざな機能を追加することで、さまざまなアプリケーション機能を統合したユニファイド・アプリケーションサービス・ゲートウェイ(UASG)化していくことを目指すという。
高木氏によれば、UASGは「NFV」(Network Function Virtualization)とほぼ同じ意味になるという。