「デジタル・デバイド」とは? 日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?
ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」 している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。
用語説明:【デジタル・デバイド(Digital Divide)=情報格差】
人々の生活に関わる様々な情報が、インターネットやパソコン等の情報通信(IT)技術を通じてデジタル情報として提供される中で、IT技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる待遇や貧富、機会などの格差のことを指す。個人間の格差の他に、地域間、国家間の格差を指す場合もある。
1998年に米国NTIA(商務省電気通信情報局)の報告書の中で始めて使われ、1999年7月に米国商務省報告書「Falling Through the Net : Defining the Digital Divide」が発表されて以降一般化。2000年7月の九州・沖縄サミットで、先進国・発展途上国間の経済格差を拡大させるデジタル・デバイド是正のため、「グローバルな情報化に関する沖縄憲章」(いわゆるIT憲章)が批准されたのを期に、国際社会の共通課題として各国間で確認され、世界各地でも広く使われるようになった。
解説
IT活用度合いによって生じる格差が社会的差別に繋がる危険性もある
企業のマーケティング戦略において、ターゲットとするユーザーを明確にすることは非常に重要です。しかし広報・サーデジタル・デバイドは「デバイド=分割、分水嶺」という単語が示すとおり、情報・通信技術活用度合いの一定ラインが境となって、様々な格差が拡大し固定化する現象ですが、境界線となるITの普及・習熟率に差が生じるには、年齢や収入の差、障害の有無、性・人種の別、さらには地域や国の状況などいろいろな背景が関係しているため、格差の解消には多面的な対策が必要とされます。
日本では、2000年11月に成立した「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)の中で、デジタル・デバイドが定義され、その是正に向けた取り組みが数多く検討、実施されましたが、総務省が発表した2011年版「情報通信白書」では、年収2,000万円以上の層のインターネット利用率が90.6%であるのに対し、200円万未満の層の利用率は63.1%と低く、さらに年齢別のネット利用率では、20~29歳が97.4%なのに対し、65~69歳が57%、80歳以上では20%と、世帯収入や年代による大きな格差が浮き彫りになりました。
デジタル情報流通の急激な拡大の中で新たな格差が生まれている
そのため、情報リテラシー向上を目指した教育制度の拡充や高齢者など情報弱者への支援、容易に使える低価格な情報機器の開発や高速で低価格なブロードバンドの敷設などが展開され、環境や経済的な理由は解消されつつあると考えられていましたが、近年はデジタル適性とでもいうべき個人の資質によって新たな格差が生み出され、状況はさらに複雑化しています。
たとえば、東日本大震災ではTwitterを使っている人とそうでない人の間で、緊急情報や災害支援情報の取得に劇的な差が見られたように、ソーシャルメディア上でどういった人とつながっているかによって、得られる情報に大きな差異が生まれる「ソーシャル・デバイド」といった現象も深刻化しています。
このようにデジタル・デバイドやソーシャル・デバイドの問題は、単にIT機器の使い方が「わかる、わからない」、ソーシャルメディアが「使える、使えない」という差に留まらず、接触情報の量や質の差異による意識格差を拡大し、価値観の過度な多様化によって共通理解、認識の難しい社会に繋がる危険をはらんでいるため、企業マーケターにとっても、一貫した製品・ブランド体験を提供するために意識しておかなければならないキーワードだと言えます。
イラスト
速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
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用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ
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