弥生は、同社が2011年の秋に開催した「弥生スマートフォンアプリコンテスト」の「弥生シリーズ連携アプリ部門」において、グランプリを受賞したクラウドキャストと資本および業務提携を行い、2,500万円を出資すると発表した。
クラウドキャストは、スマートフォンアプリやクラウドサービスを開発・販売しており、「弥生スマートフォンアプリコンテスト」では、スマートフォンからの取引入力を可能にする「bizNote for 弥生会計」を出品した。
弥生は、スマートフォンアプリを中心とした開発実績を持つクラウドキャストへ出資を行うことで、近年急速に普及したスマートフォンアプリの開発技術の強化と、スマートフォンアプリやクラウドサービスと弥生製品との連携を強化する。
具体的には、弥生の製品において、単独ユースから「チーム」機能強化、インフラ、サポートの強化、ID連携、データ連携などの連携強化のほか、弥生ユーザーへの共同プロモーションを行うという。
弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏は、「自分たちだけすべてをカバーをできないため、オープン・イノベーションを進めていく」と述べ、今後も外部の力を活かすための投資を継続していくという。
同社では今回も含め総額2億円の投資枠を確保し、一案件当たり2,000万円~3,000万円前後を想定し、出資を継続していくという。
分野としては、同社がこれまで扱っていた会計領域だけでなく、マーケティング領域なども視野に入れているという。
同社では、来年4月の消費税アップへの対応で、来期は売上げ増が期待できるが、ベンチャーへの投資は、その先の事業を見据えたものだという。
岡本氏は「消費税の大きな需要が落ち着いたあとに、企業が成長するための種をいまからしっかり作っておく」と述べた。
業績は順調
岡本氏は、発表会の中で上半期を業績を振り返り、「大変順調だ」と総括。2013年の本数シェアは、前年比6.1%アップの60.1%、金額シェアは前年比4%増の72.8%になったという。同氏によれば、特に青色申告と弥生会計がシェアアップを牽引しているという。
岡本氏は「市場自体も伸びており、私どもが伸びるから市場が伸びるという状況になっている」と同社が市場を牽引しているとの認識を示した。
なお、2013年度の業績は概ね計画通りで、売上げは109億6,000万円を予想している。
好調な業績の裏で、昨年から第一段として開始した「弥生オンライン」は苦戦しているようで、「やよいの店舗経営オンライン」は、正式サービス開始から半年が経ったが、年間目標3,000ユーザーに対して、現状は100ユーザー未満に留まっているという。
岡本氏は原因として認知度の低さ(会計事務所への浸透も含め)や複数店舗未対応など、機能面の不足を挙げた。同製品は、弥生のパートナー会計事務所を経由して契約することになるが、同製品に対応したパートナー会計事務所は5%未満に留まっているという。ただ、11月には複数店舗対応を行い、課題の1つを解消させる予定だ。
また同社は、年内に新たなオンラインサービスを開始する予定だ。具体的なサービス内容は明確にしなかったが、新規市場の開拓を目指すサービスで、ダイレクトアプローチ 、HTML5対応、 Macも対象にするマルチプラットフォームが特徴だという。「やよいの店舗経営オンライン」よりも、より小規模な事業者を対象にしているようだ。