三鷹市は29日、ICTを活用した街づくりに係る地域実証プロジェクト「ICT街づくり推進会議」を実施した。同プロジェクトは地域実証プロジェクト関係者との意見交換を通じ、ICTを活用した三鷹市の街づくりに反映させるための総務省管轄のプロジェクト。今回は、第3回目の地域懇談会となる。
懇談会では、柴山昌彦 総務副大臣や清原慶子 三鷹市長のほか、同会議の構成員が参加した。
清原氏は、三鷹市のこれまでのICT街づくりへの歩みについて「光ファイバー利用のINS実験やSOHO CITY みたか推進、ユビキタスコミュニティ推進事業を実施した」と同市の取り組みを紹介。
今後の街づくり方向性として、「リアルな人のつながりがあるからICTが活かされる街づくりが可能」と強調。それを踏まえて多角的なコミュニティ創生を推進するとした。
今回、三鷹市ICT街づくり実証事業のサービスを提案。JR中央線三鷹駅前にて通常時には公衆無線LANサービス、災害時には情報流通のインフラとして活用される「駅前Wi-Fiサービス」。IP告知端末のTV電話機能でコミュニケーションを図りながら商品を注文する「IP告知システム」。J-ALERT情報を元にパソコンや携帯電話をはじめ、前述のIP告知端末やCATV網を利用したテレビなどへ一斉に情報発信が可能な「情報伝達制御システム」。共通IDをトリガーとして総合住民情報システム内の情報を紐付け、他市町村といった複数の機関に存在する個人の最新情報を活用し要援護者情報を把握する「要援護者支援システム」といった街づくりの核になる4つのサービスに関する実証実験を実施した。
その結果、「要支援者」は緊急時のテレビ電話や訪問の有効性について「7割が役に立った」と回答。また、「駅前Wi-Fiサービス」については、利用方法やユーザビリティについては普通・または簡単/みやすいといった意見が大半を占め、利用エリアについては、駅前以外の公共エリアでも利用可能になることを所望する意見が挙げられた。
清原三鷹市長は、「三鷹市の実証事業で共通IDを活用したことは、個人番号の全体的な展開につながる」とコメント。「共通化・プラットフォーム化を進め、先行事例を標準化し、国内のみならず、世界に展開させたい」と語った。
また、柴山総務副大臣は、ICT街づくりについて「(住民サービスについての)受益と負担をどう考えるか」と言及。「市が何をするか、株式会社が何をするか、市民ボランティアがどこまでサービスを担うかでそれぞれの負担が変わってくる。その上で市民がどう関わっていくかが街づくりには重要である」と強調した。