OKIは29日、総務省消防庁が定めた岩手県大槌町での「住民への災害情報伝達手段の多様化実証実験」において、920MHz帯無線マルチホップネットワークシステムを利用した防災システムの実証実験に成功したことを発表した。

一般的に、市町村から住民へ災害情報を伝達する際は、市町村防災行政無線が利用される。しかし東日本大震災において、一部の地域ではその昨日が十分に発揮されなかったことが指摘されている。災害情報をより多くの住民へ確実に伝達するためには、さまざまな情報通信技術を活用した伝達手段の多様化が必要となる。

そこで総務省消防庁は、この多様化の実現に向けて、実証実験を実施するために全国の自治体からの提案を公募し、6つの自治体を選定した。OKIは、このうちの岩手県大槌町において、2013年2月23日から3月29日まで実証実験を行った。

実証実験のシステム構成図

OKIは、920MHz帯無線マルチホップネットワークシステムと5GHz帯無線アクセスを組み合わせた「自治体メッシュネットワーク」を整備し、既設の60MHz帯の防災行政無線との重層ネットワークを構築した。この920MHz帯無線マルチホップネットワークシステムは、建物や障害物があっても電波到達性が高く、電源供給の停止などで一部の無線機が使用不能となっても、残った無線機同士でメッシュ型ネットワークを再構築できる。

920MHz無線機250mW高出力型

今回の実証実験では、自治体メッシュ・重層ネットワークを利用し、防災行政無線の監視およびバックアップと住民への災害情報伝達手段の多様化の実験を行い、「防災行政無線の監視とバックアップによる耐災害性の向上」と「住民への災害情報伝達手段の多様化」を実証することができたという。