安川電機は5月28日、産業技術総合研究所 創薬分子プロファイリング研究センターの協力を得て、医療やバイオ研究分野における試薬や献体の分析前処理作業向けとして、同社の産業用の双腕ロボットを使用した「分析前処理ロボットシステム」(画像1)を開発し、6月1日より発売することを発表した。

画像1。分析処理前ロボットシステム

これまでの医療やバイオ研究分野においては、分析前処理作業として幾種類もの小型容器に微量の試薬や献体を分注・攪拌、分離などを行った後、複数の分析機器を駆使して微細な分析を行うなど、複雑かつデリケートな作業が人手により行われていた。

しかし、これらの手作業は個人差によるバラツキやミス、劇薬や最近などへの接触の危険性、長時間のルーチンワークといった潜在的な課題が存在しているのである。そこで今回の分析前処理ロボットシステムを利用することで、そうした危険性や長時間のルーチンワークから研究者を解放できるというわけだ。

また分析前処理ロボットシステムには双腕ロボットが用いられていることから、人がこれまで使用していた分析器や容器などをそのまま使用することが可能で、柔軟性・拡張性の高いシステムとなっている。さらに、ロボットならではの人を超えた再現性でもって作業を行えることから、非常に信頼性の高い実験データを産み出せるというわけだ。

特に、大規模プロテオミクス研究や高い再現性が求められる定量実験に向いているとしている。なおプロテオミクスとは、生体内の細胞や組織で作られるタンパク質の構造や機能を総合的に解析する技術の総称だ。

さらに、人と同等のワーキングスペースで分注や培養などのさまざまなベンチワーク系の実験も可能だ。

なお分析前処理ロボットシステムの実機は、29日からインテックス大阪でスタートした「中小企業総合展」に出展されている。