資生堂は、カナダのバイオベンチャー企業RepliCel Life Sciencesの「毛髪再生医療技術(RCH-01)」導入に関し、21億人の人口を擁する日本を含むアジア全域を対象とした技術提携契約について基本合意に達したと発表した。また、これに合わせて資生堂はRepliCelに対して契約金として4億円を支払うことも併せて発表した。
今回の提携により、資生堂が導入するRepliCelの技術は、同社が10年以上、基礎研究や臨床研究を行い、安全性を担保した毛髪再生・特許技術。脱毛症や薄毛に悩む患者の頭皮から採取した毛髪の成長に重要な役割をする毛乳頭細胞の元になると考えられている「底部毛根鞘細胞」を培養した後、脱毛部位に移植(注入)、脱毛部位の損傷した毛包を再活性化させ脱毛部位の健康な毛髪の成長を促す自家細胞の移植技術で、植毛のように広範な頭皮の切除は不要なため、外科施術における身体的負担が小さいほか、患者自身の細胞の移植であるため、リアクション(移植後の拒絶反応など)のリスクが小さい、育毛料に比べ、一度の施術で効果の持続が期待できる、男女問わず応用が期待できるといった特長があるという。
また、細胞培養から毛髪の成長までの手順は、患者の後頭部(有毛部)から約20個の毛包を含む頭皮(直径5mm前後の円形)を切除し、そこから底部毛根鞘細胞だけを取り出し、RepliCelが開発した細胞培養プロセスで培養した後、患者の脱毛部位に注入し、脱毛部位における健康な頭髪の成長を促進させるというものとなっている。
なお、資生堂では、今後、RepliCelの毛髪再生医療技術と自社の技術を組み合わせ、専門医とも連携することで、脱毛症や薄毛に悩む方々に美容と医療を融合した安全で有効な毛髪再生医療の事業化を5年をめどに目指していく計画としている。