マイクロソフトは28日、2012年4月に開所した明治大学の黒川農場にて、最新のICTを活用したこれまでにない「近未来農業」に関する見学会を実施した。

農業とWindows 8

黒川農場は明治大学創立130周年記念事業の一環として設立。同大学の農学部がある生田キャンパスからアクセスが容易で、年間を通じて体験型実習教育、研究活動に従事できる農場となっている。

同大学は、ここを明治大学の新たなサテライトキャンパスと位置づけた。そして、自然エネルギーを活用した資源循環型の生産方式による「環境共生」。生物多様性を保持し子供・市民・学生等への教育に活用の場する「自然共生」、川崎市が構想する"農業公園づくり事業"の中核的存在とし、市民や行政・企業と連携する「地域共生」という3つのコンセプトを掲げて設置された。総面積は約12ヘクタールで大型を含めた温室を7つ保有する。

同農場では、「養液土耕栽培」といった方式に着目。養液土耕栽培は1950-1960年代に、イスラエルで総合的節水栽培の研究としてはじまった。この方法を使うことで設備投資が少なく、水耕栽培ほど厳密な管理が要求されず、必要な肥料を必要な時期に補給するため、肥料の利用効率が高く、環境にも優しい方法となっている。

養液土耕栽培の特徴

今回ICTを活用した農業普及に関する課題として、システムが高価、各種データが管理技術に活かされない、農業従事者のICT機器の壁、出口戦略といった点を列挙。これらの課題を解決するために「ICT養液土耕システム Zero.agri」というシステムを開発した。

「ICT養液土耕システム Zero.agri」

Windows 8版のZero.agriをタブレットで利用することで、自宅や事務所で作業を行え、指1本で簡単に操作ができる。そして、ハウスの最新状況を1画面でまとめて表示もできる。また、数字の羅列を取り扱うのではなく、農家の人が見て感覚的に使えるまで意味を引き出せるようなグラフを表示、データ解析の結果や水・養液の適量範囲を予測して表示する。

このシステムを使うことで必要な分だけ養液を自動的に送り込むことができる

明治大学農学部 特任教授 小沢聖氏は同システムについて「オヤジの経験と勘を数値化して、子供はこの数値を解析し、来年の施策に反映させる」とコメント。

今後は、国内で同システムを普及させたのち、海外にシステムをそのままもっていき、展開して普及をさせていきたいとしている。