5月24日、都内でIBMのセキュリティー・コンファレンスである「Pulse Japan 2013」が行われた。本稿では、基調講演の模様の一部をレポートする。

初めに、日本アイ・ビー・エム 専務執行役員 ソフトウェア事業担当である、ヴィヴェック・マハジャンが登壇した。

「今、ビジネスはターニングポイントに来ている」と、新たなコンピューティング・プラットフォームの台頭について語り出した。スマートフォン、ビッグデータ、ソーシャルメディアの流れは、非常に急進的なものであり、それらを取りまとめるクラウドを活用する企業も増加の一途をたどる。

新たなプラットフォームの台頭

インフラの最適化がIBMのミッション

こうしたトレンドを感じ取ることができるのは、世界175カ国でビジネスを展開しているIBMならではと語るヴィヴェック氏。あらゆるインフラを最適化し、提供することがIBMの使命であり、IBM Smarter Cloudは、現在のビジネスの流れに合わせた使命を果たす商品とした。

続いて、日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 Cloud & Smarter Infrastructure事業部 事業部長の高瀬 正子氏が登壇。

高瀬氏もまた、現在はターニングポイントに来ているとし、「ターニングポイントは破壊的テクノロジーと共にやってくる」と語る。その破壊的テクノロジーとは、クラウド技術であり、現在62%のワークロードがクラウド環境に移行しているという。世界10億人のスマートフォンユーザー、2000億のM2M環境からのデータが日々ビッグデータとして蓄積され、それらをどのように取り扱っていくかが企業にとっての課題になっているという。

高瀬氏は、もはやITはコスト削減のためのツールではなく、ビジネスを進めるためのツールとし、インフラが最適化されていない企業では開発、導入、本番と、あらゆる局面でビジネスの遅延が生じ、ビジネスチャンスを逃すと語った。

米IBM CTO ダニエル・サバー氏

IBM SmarterCloud Orchestretor

その後、米IBMのCTOのダニエル・サバー氏が登壇。彼もまた「新たなイノベーティブな技術が導入されている現在、ターニングポイントに来ている」とする。船舶の保守運用にもクラウドが利用される時代、インフラのクラウド化とモバイル環境は融合していくと語る。2015年には、10億人以上ものスマートフォンユーザーが現れるとし、かつて言われていた「ユビキタスの世界」が目前に来ているという。

モバイルの進化はクラウドに繋がり、ビッグデータが生まれ、更にビッグアナリティクスへと広がっていく。ビジネスの効率化が進むごとに、新たな課題が生まれ、インテリジェンスな問題が生まれるとダニエル氏。効率化とイノベーションのバランス取りは難しいが、ITの効率化はIT以外への予算を生み、ビジネス上の新たな差別化要因を作ることができるとする。

サバー氏は、IT効率化の具体策として、「やらなくても良いことを増やせる」というIBM SmarterCloud Orchestretorを紹介。同製品は、クラウド・サービスのデプロイとライフサイクル管理を自動化するオープンで柔軟なプラットフォームで、様々なオープン・アーキテクチャーをサポートし、トランザクション系システム、モバイル接続などの相互運用性を高いレベルで提供していくという。なお、Smarter Cloud Orchestratorは5月24日より提供が開始された。