日立製作所(以下、日立)、ダイキン工業(以下、ダイキン)、みずほコーポレート銀行(以下、みずほCB)、みずほ情報総研(以下、みずほ情報総研)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「英国・グレーターマンチェスターにおけるスマートコミュニティ実証事業」の委託先に選定されたと発表した。

この実証事業は、日立が実証研究責任者として全体を取りまとめ、3社とともに実施可能性調査を本年12月末まで行う。その後、調査結果を踏まえた事業化評価を経て、実証事業を2016年3月末まで実施する予定。

実証事業の目的は、日本の優れたヒートポンプ技術とICT関連技術により英国のエネルギーシフトを推進することで、低炭素化社会の実現に寄与する技術・システムを実証すること。

また、ヒートポンプとそれを用いたアグリゲーションシステムの普及に向けた、エネルギー政策・制度を考慮したビジネスモデルの構築を行う。

具体的な実証事業の内容と参画企業は、「テーマ1. 住宅の小口消費電力を負荷調整能力として利用するアグリゲーション技術・システムの実証(日立・ダイキン)」、「テーマ2. ビジネスモデルの構築(みずほCB、みずほ情報総研、日立、ダイキン)」。

テーマ1の実証事業では、英国・グレーターマンチェスターにて200~300軒の複数タイプの住宅にそれぞれ適したヒートポンプを選定・設置し、アグリゲーション技術・システムを導入することで、各住宅のヒートポンプをコントロールし、電力調整量を取りまとめ、小口需要家の電力需給調整能力を検証する。

具体的には、暖房などの熱利用に着目し、既存のガス燃焼式温水器から、電気エネルギーを用いて大気中の熱を集め加熱するヒートポンプに置き換える。各小口需要家のヒートポンプの加熱運転タイミングを調整することで、電力需給逼迫時には電力消費を抑制したり、電力需給余剰時には電力消費を促したりするなど、小口需要家の電力を集中管理・制御することで、電力の需給バランスにおける調整力の検証を行う。

また、複数住宅のデータを大量かつリアルタイムに収集・蓄積・一元管理・分析し、電気料金の仕組みとリンクさせ新しいサービス提供を検討する予定。

テーマ2の実証事業では、英国の需要家のヒートポンプに対する受容性などの調査・分析を行い、ヒートポンプの普及に向けた施策や電力需要調整への需要家の参加を促すインセンティブの検討を行う。また、電力取引市場や電気事業者などの調査・分析、サプライヤー調査、英国政府関係者への働きかけなどを検討し、ヒートポンプの群管理によるアグリゲーションシステムの事業化に向けた検討を行う。

想定される技術実証例