ブロケード コミュニケーションズ システムズは5月22日、物理ネットワークと仮想ネットワークのそれぞれ組み合わせ、データセンター内およびデータセンター間にわたる仮想化の拡張性を向上させる「オンデマンド・データセンター(On-Demand Data Center)」構想を発表した。
オンデマンド・データセンター構想は、物理ネットワークと仮想ネットワークの要素を融合したインフラ上で、サーバ、ネットワーク、ストレージ、およびサービスのキャパシティを自在に追加・変更できるようにし、従来型のデータセンター・ネットワークと比べて、高付加価値なアプリケーションをより迅速かつ容易に提供できるようにするもの。これにより、データセンター事業者やプロバイダの利益率向上を目指す。
このオンデマンド・データセンター構想は、SDN(Software-Defined Networking)のより大規模な導入を加速させる進化のステップでもあるという。
そして、同社では、この構想の実現に向け、従来アプライアンスで提供していた機能をソフトウェア(仮想アプライアンス)で実現する「Brocade Vyatta vRouter」と「Brocade Virtual ADX」を発表した。
Brocade Vyatta vRouterは仮想ルータ機能を提供し、ルーティング機能、ステーフルファイアウォール機能、VPN機能を提供する。この製品は、プロケードが昨年12月に買収したVyatta社の製品。
なお同社は、今秋にはBrocade Vyatta OSの最新バージョン6.6をリリースし、「マルチキャスト・ルーティング」と「ダイナミック・マルチポイントVPN(DMVPN)」もサポートする予定。
Brocade Vyatta vRouterは、オンデマンドで導入、設定、変更でき、VMware、Microsoft、Citrix、およびRed Hatを含むすべての主要ハイバイザをサポートしている。
ブロケード コミュニケーションズ システムズSDNビジネス開発本部 執行役員 尾方一成氏は「Brocade Vyatta vRouterは、VMWare ESX、Linux KVM、Citrix XenServer、MS Hyper-V、AWSをサポートし、個別に最適化している点が大きなポイントだ」と語った。
「Brocade Virtual ADX」は、ロードバランサとダイナミック・プロビジョニング機能を実現するソフトウェアで、SOAP/XML APIを介したアプリケーション管理およびプロビジョニング制御による、サードパーティ製あるいは自社開発のオーケストレーション/自動化ツールとの連携する。
さらに、Brocade Application Resource Brokerへの機能追加により、クラウド・プロビジョニング機能を向上させ、Load Balancing as a Service向けのOpenStackプラグインに対応。データセンターのリソースがひっ迫してきた場合、ダイナミック・リソース・プロビジョニング機能により、異なるデータセンターのリソースを自動的に活用するハイブリッド・クラウド・サービスを可能にする。
なお、「Brocade Virtual ADX」の提供開始は6月26日を予定している。
さらに、OpenStackによるデータセンターのオーケストレーションを可能にするため、Brocade VDXスイッチ・ファミリで利用可能なOpenStack用ブロケード・プラグインをリリース。OpenStackによるBrocade VDXスイッチ・ファミリの管理を可能にしている。