Integrated Device Technology(IDT)は、高速シリアルインタフェース規格JESD204Bに対応した16ビットD/Aコンバータ(DAC)「DAC165xQ」を発表した。
同製品は、JESD204Bインタフェースを備えたクワッド(4チャネル)品であり、低消費電力を1つの特徴としている。使用することにより、マルチキャリア対応の広帯域無線アプリケーションにおいて、プリント回路基板の配線の数を削減することができる。
「DAC165xQ」は、分解能が16ビット、変換速度が1.5Gsps、入力データレートが750Msps。高い性能により、様々な無線基地局(BTS:Base Transceiver Station)用のプラットフォームで扱われる広帯域信号に対応可能。また、信号レートが10Gbpsのインタフェース規格JESD204Bに対応しているため、システムの性能を高めることができる。加えて、インピーダンス整合をとった32系統の旧来型差動レーンを、最大8系統の高速差動レーンで置き換えることができ、プリント回路基板の配線設計や多層化設計を簡素化することができる。
また、85dBc(標準値)のスプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)、-162dBm/Hz(標準値)のノイズスペクトル密度(NSD)を達成しているため、優れた信号品質を実現することができ、MC-GSMを含むあらゆる無線規格に対応可能となっている。
さらに、IF(中間周波数)ミキサー用に2個のNCO(Numerically Controlled Oscillator:複素型数値制御発振器)、バイパス可能な低ノイズのPLL、各種RFミュートモードを備えているため、柔軟性の最大化やシステムコストの最適化を図ることができるほか、MDS(Multi-Device Synchronization:マルチデバイス同期)を介するビームフォーミングに利用できるよう、高調波クロッキングと確定的レイテンシに対応した機能も内蔵していることにより、複数のDACからの出力ストリームをサンプルレベルで同期させ、システムレベルで位相コヒーレントな連携を実現することが可能になる。この他の用途としては、LTE(Long Term Evolution)/LTE-A/LTE-TDD(Time Division Duplex)/W-CDMA(Wideband CDMA)に対応する通信システムや、LMDS(Local Multipoint Distribution Service)/MMDS(Multichannel Multipoint Distribution Service)、ポイントツーポイントのマイクロ波バックホール、HD(高精細)ビデオ放送用の制作装置、ATE(自動試験装置)、DDS(Direct Digital Synthesizer:デジタル直接合成発振器)装置などが挙げられる。
なお、パッケージは10mm角の72ピンHLA。現在、特定顧客向けに「DAC1658Q」と「DAC1653Q」のサンプル出荷を開始している。「DAC1658Q」はコモンモード出力電圧が2.8V~3.0V。「DAC1653Q」はコモンモード出力電圧が0.25V~0.5Vで、様々なI/Q変調器と容易に組み合わせることができる。ピン互換性を持つデュアルDACも用意されている。