IDC Japanは5月20日、2012年の国内セキュリティ市場規模実績と2017年までの予測を発表した。昨年のソフトウェア製品とアプライアンス製品を合わせた国内セキュリティ製品規模は2220億円で、前年比成長率は4.7%となった。2012年~2017年の年間平均成長率は3.9%となっており、2017年には2693億円まで市場が拡大するとしている。

国内セキュリティ市場規模予測

2012年のセキュリティソフトウェア市場は、アイデンティティ/アクセス管理と、エンドポイントセキュリティで需要が高く、前年比成長率は4.0%で市場規模は1898億円となった。セキュリティアプライアンス市場は、標的型攻撃対策としてニーズが高いIDS/IPSと、リモートアクセスのセキュリティ基盤として需要が拡大したファイアウォール/VPN/UTMが市場を牽引し、市場規模が前年比8.8%増の322億円となった。

2012年~2017年の予測では、セキュリティソフトウェア市場が年間平均成長率3.8%(2017年予測:2291億円)となっている。今後はクラウドサービスやモバイル端末の利用拡大、増加の一途を辿る標的型攻撃の巧妙化、悪質化によって、アイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティへの需要が高まるとしている。セキュリティアプライアンス市場は、2012年~2017年の年間平均成長率が4.5%(2017年予測:402億円)と予測されている。

また、セキュリティサービス市場では、2012年の市場規模が6504億円、前年比成長率が4.6%となった。サーバー統合/システム統合に伴うセキュリティシステムの再構築需要や、スマートフォンなどのスマートデバイスとクラウドサービスの利用拡大により需要が高まっているという。この状況は2013年以降も継続し、2012年~2017年の年間平均成長率が3.9%、2017年の市場規模が7884億円と予測されている。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティリサーチマネージャーの登坂 恒夫氏は「クローズドなネットワーク環境で安全とされていた電気やガスなどの社会インフラ産業、防衛関連企業、化学産業といった特定の産業がセキュリティ脅威にさらされている」とし、セキュリティベンダーやパートナーが特定の産業に特化したセキュリティ対策品をパッケージ化する必要があるのではないかと述べている。