米アリゾナ州フェニックスで開催されている「Intel ISEF (Intel International Science and Engineering Fair : インテル国際科学技術フェア)」の現地レポート第2弾をお届けする。
フェアの中盤を迎えた15日、いよいよ本番の審査が始まる。審査は、朝8時から夕方5時までの間、ランチブレイクを除いて終日行われる。審査員の数は1000人にものぼり、様々な分野のプロフェッショナルたちが、それぞれの担当や興味のあるプロジェクトを事前にチェックし、当日ブースを訪れてファイナリストたちからプレゼンテーションを受けるという形式をとっている。
7~8人から多くて20人程の審査員がブースを訪れる。この間、審査員とファイナリスト以外は完全にシャットアウトされ、人の出入りや中の展示物の持ち出しに対するセキュリティも厳重である。
というわけで、メディア関係者はもちろん中に入ることはできないため、審査終了の時間を待って入口で待機して、日本代表たちに審査後の感想を聞いた。今回、国際的な晴れ舞台を前に日本代表たちは、TEDxTokyoのパトリック・ニューウェル氏によるワークショップを受け、Q&Aに備えたという。
日本では考えられない審査
中の様子が気になっていた大勢の引率者たちが見守る中、審査を終えたファイナリストたちが次々に会場外に出てくる。そんな中、人の波に押されるように出てきた、田中堯さん(千葉県立千葉高等学校)、佐藤友彦さん、四茂野貴大さん(広島県立府中高等学校)、高成壮磨さん(北海道 旭川東高等学校)の4人の姿を見つけた。
田中さん、佐藤さん、高成さんは、「楽しかった!」「やりきった」といった感想を晴々した顔で語った。四茂野さんだけは第一声が「寝たいです」。この一日に向けて準備をし、ハードなスケジュールが続いていたため、審査を終えての素直な気持ちだったのだろう。
残りの4人、矢倉大夢さん(灘高等学校)、橘智子さん(津山工業高等専門学校)、村上大祐さんと田中千聡さん(長崎県立長崎西高等学校)も会場から出てきて、その後、テレビのインタビューを受けていたのだが、「特に緊張はしなかった」「準備してきたものをきちんと出すことができた」と、落ち着いた様子で、しっかり受け答えをしているのが印象的だった。
日本代表者たちの多くが語っていたのが、「自分の研究に熱心に耳を傾けてくれて、質問をしてくれたことが嬉しかった」ということだ。審査員たちは、先に研究内容を熟知してからブースを訪れるため、プレゼンを聞かず、いきなり質問を投げかけてくる人もいるのだという。
「想像していたのとまったく違った。日本では考えらない」、「審査員がとてもフレンドリーなので驚いた」、「(研究内容の)弱い部分をこうしたらいいんじゃないかとアイディアを言ってくれる審査員もいて、大変勉強になった」といった感想も出て、審査そのものが大きな経験になった様子であった。
この日の夜は、大人シャットアウトの「ミキサーパーティー」が開催された。聞くところによると、審査が終わって緊張感から解放されたこともあってか、音楽とダンスで弾け、相当盛り上がったらしい。日本代表たちも各国のファイナリストたちと共に楽しんだようだ。
パブリックデーを楽しむ
審査が終わった翌日は、パブリックデーと呼ばれる一般への公開日となっている。近隣の小中学生たちがスクールバスで訪れるため、かなりの賑わいとなる。
審査、パーティ、そして展示の一般公開も終了した。いよいよアワードの発表を残すところとなった。
アワードは企業や大学、団体などが用意する60以上の「特別賞授賞式」と、INTEL ISEFのトップアワード「ゴードン・ムーア賞」を筆頭に、カテゴリ毎に準備された優秀賞が与えられる「グランドアワード授賞式」が2日間にわたって開催される。