NHKは5月16日、日本触媒と共同で、フィルム基板上でも長期間安定に発光する有機EL(OLED)デバイス「iOLED」の開発に成功したと発表した。

詳細は、5月30日~6月2日に開催される「NHK技研公開2013」で紹介される他、5月19日~5月24日にカナダで開催される「Society for Information Display, International Symposium」でも発表される。

従来のOLEDは、基板上に陽極、有機層、電子注入層、陰極の順序で積層して成膜していくが、基板材料としてフィルムを用いた場合には、時間の経過とともに基板側および陰極側の両方向から、大気中の酸素や水分が進入し、電子注入層と陰極を劣化させ寿命が短くなるという課題があった。

今回、酸素や水分の影響を受けにくい電子注入層の材料を開発するとともに、劣化しにくい陰極用材料を使用し、これらの材料を積層して成膜できるよう、陽極と陰極の位置を入れ替えた逆構造にすることによって、長期間安定に発光する「iOLED」を実現したという。

なおNHKでは、通常のOLEDは、100日間大気中にさらしておくと発光面積が約半分になってしまうのに対し、今回開発した「iOLED」は劣化しないことを確認したとしている。

従来構造のOLED(左)と今回開発された「iOLED」(右)