Qualcommの日本法人であるクアルコムジャパンは5月16日、「タブレット×デジタル教科書」プロジェクトを開始することを発表した。ルネサンス・アカデミーが運営する高校を支援、同校の生徒にタブレットを配布し、学習に活用するという。
会見には、ルネサンス・アカデミー社長 桃井 隆良氏、クアルコムジャパン社長 クリフォード・フィッキ氏、QualcommのWireless Reachイニシアチブ統括責任者であるクリスティン・アトキンス氏が登場した。
「タブレット×デジタル教科書」プロジェクトは、同社のWireless Reachイニシアチブを活用した取り組み。Wireless Reachイニシアチブは、同社のモバイル技術を通して、人々の生活の向上と改善を実証実験するもの。
Wireless Reachイニシアチブは世界33カ国、84のプロジェクトが進行しており、医療、教育、起業家精神、公衆安全、環境の5テーマで分けられている。医療テーマでは、「3Gを利用した遠隔地や被災地の医療アクセス」が日本で行われたという。
Qualcommは今回のようなモバイル学習において垂直型市場開発を行っている。これは、主要なコンテンツパートナーと協力し、同社の持つモバイル技術を活用することで、モバイル学習のエコシステムを構築しようというもの。
エコシステム構築のためのパイロットプロジェクトでは、スマートデバイスやネットワークを提供し、教員向けに研修を行う。また、核となるデジタル教材は、デジタル分野に積極的な教育コンテンツプロバイダ(ナショナルジオグラフィックなど)と協力。実際に利用した生徒や先生などにフィードバックを行ってもらうことで、プロジェクトの品質を高めているという。
今回の「タブレット×デジタル教科書」は、ルネサンス高校、ルネサンス豊田高等学校が支援対象となっている。ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイトを運営するルネサンス・アカデミー経営の高校で、生徒は約5000名。そのうち200~300名に3G、4G回線搭載のタブレットが配布される。
回線とタブレットは同社が費用負担し、いつでもどこでも学習可能な環境を実現し、実証実験を行う。利用端末はAQUOS PAD SHT21。ルネサンス・アカデミーでは、以前からWireless Reachイニシアチブを活用したモバイル学習プロジェクトを行っており、2011年にIS03を生徒に配布していた。
同プログラムは、デジタル教科書を活用した学習プロジェクトを行い、小テストなどもブラウザから行える。また、ナショナルジオグラフィックの教材を使って新たに開発されたデジタル教材や動画を使ったオリジナル教材の導入も予定している。
会見後、クアルコムジャパンのフィッキ社長は報道陣からの「今後のスマートデバイス市場はどう成長するとみているか?」との問いに、「日本のスマートデバイス市場は大きく、今後もさらなる成長が見込める。また、デジタルTV連携などの連携も今後加速していくだろう」とし、今後も市場拡大が継続していくことを強調した。
また、機器間連携など、モバイル環境が将来どのように広がっていくかとの質問に「今、一般家庭には平均して8つのWi-Fi機器がある。将来的には照明器具、果ては車の鍵にまでWi-Fiが搭載され、100個のWi-Fi機器が存在するようになるだろう。すべてがワイヤレスネットワークで繋がり、屋外では4Gのデータサービスがあらゆる物と連携できる。その様な未来を我々は描いている」と答え、ワイヤレスネットワーク分野で主導権を握る意思を見せた。