日立製作所は5月14日、従来比約2/3サイズに小型化した1500V架線用の鉄道車両用3.3kV/1200Aパワーモジュールを開発したと発表した。

同製品は、主として架線から供給される直流電圧をモータ駆動用の交流電圧に変換するインバータに搭載されるもの。今回開発した技術により、パワーモジュールの小型化、および小型化により発生する温度上昇の抑制を実現しており、鉄道車両用インバータへの実装を可能にした。これにより、鉄道車両用インバータの小型化や軽量化、省エネ化に寄与するとしている。

鉄道用に用いられているSi-IGBTモジュールには、750V架線用の1.7kVと1500V用の3.3kVの2種類のモジュールがあるが、より高電圧での動作が必要な3.3kVのモジュールには、一般的に140mm×190mm規格が採用されており、インバータの軽量化に向けて小型化が望まれていた。そこで今回、3.3kVモジュールを従来比約2/3サイズとなる130mm×140mmへと小型化するとともに、小型化により発生する温度上昇に対応し、インバータへの実装を実現するための技術を開発したという。

具体的には、Si-IGBT、ダイオードチップの電流密度を向上させた。パワーモジュールの小型化のためには、チップの電流密度を高める必要がある。そこで、IGBTチップをトレンチゲート構造にすることで電流密度を向上させ、セルサイズを約2/3に縮小した。また、構造の変更により、従来に比べ損失を20%低減できることを確認した。

さらに、パワーモジュールの小型化のために、チップ当たりの電流密度を高めると、温度が上昇するので、チップへの熱集中を防ぐために高熱伝導絶縁基板を用いたほか、シミュレーションにより最適なチップ配置を決定、接合材にはすず銀系はんだを、端子の接続部には超音波による金属接合方式を採用することによって、熱抵抗を20%低減することに成功したという。

日立製作所の1500V架線用の鉄道車両用3.3kV/1200A小型パワーモジュール