シャープは5月14日、2013年3月期の連結業績を発表、最終損益が5453億円の赤字になることを明らかにした。前年度の最終赤字3760億円を上回る過去最悪の数字となる。経営陣を刷新、液晶やデジタル情報家電の販売回復を見込み、今期営業利益は800億円、当期純利益が50億円の黒字を見込んでいる。
2012年度の連結業績は売上高が前年比100.9%の2兆4785億円となった。営業利益は-1462億円で、前年-375億円より1087億円の赤字幅拡大となった。経常利益も-2064億円となり、前年-654億円から1410億円の大幅な赤字拡大を記録。当期純利益では減損・事業構造改革実施などを合わせ、5453億円の最終赤字となった。これは前年度-3760億円を超える過去最悪の赤字。
下期売上高は、上期と比べ2702億円増収の1兆3744億円となり、営業利益も上期と比べ1915億円改善し、226億円と黒字転換を果たした。経常利益は-92億円、当期純利益は-1577億円。
下期部門別売り上げでは、上期に比べ、液晶部門が1107億円、太陽電池部門が737億円の増収となり、下期好調の要因だという。液晶テレビや携帯電話などのAV・通信機器部門は上期に比べ、554億円の売り上げ増となったものの、通期では前年比69.0%の落ち込みが見られた。
下期部門別営業利益では、液晶を除く全ての部門で黒字化を達成。液晶は-234億円で赤字が続いているものの、上期営業利益の-1155億円から921億円の改善が図られている。
第4四半期の特別損失は1037億円に上った。主な項目としては、AV、液晶事業における固定資産の減損損失が473億円。太陽電池事業のリース解約損などの事業構造改革費用が173億円。和解金などが323億円となった。2012年度全体の特別損失は2596億円。
2013年度の連結業績予想も合わせて発表され、売上高は前年度比108.9%の2兆7000億円、営業利益は800億円を見込む。当期純利益は50億円で5000億円を超す赤字からの黒字転換を目指すという。
第1四半期は季節的な要因などから売上高の落ち込み、営業利益の赤字が見込まれるものの、第2四半期以降は安定的な収益回復を目指すという。
部門別では、液晶の売上高予想が第2四半期に大きく上昇していることから、提携を結んだ韓国サムスンや、液晶を提供しているとされている米アップルなどの新製品発売に合わせた納入増加などが考えられる。
なお、シャープは5月14日に行われた取締役会において経営陣の刷新を決議した。奥田隆司代表取締役社長が取締役及び執行役員を退任し、会長に就任する。片山幹雄会長は退任し、技術顧問の役割である「フェロー」になるという。
新代表取締役社長には高橋興三氏が就任する。高橋興三氏は1980年にシャープへ入社。2008年に健康・環境システム事業本部長、2012年4月に副社長執行役員などを歴任した。前職は代表取締役 兼 副社長執行役員 プロダクトビジネスグループ担当。また、専務執行役員の方志憲和氏が代表取締役 兼 専務執行役員となる。異動予定日は6月25日。