日本IBMは、米IBMがすべてのクラウド・サービスとソフトウェアをオープン・クラウド・スタンダードをベースにすることを本年3月に発表したことに基づき、今後はIaaSはOpenStack、PaaSはOASIS TOSCAをベースしたソフトウェア・サービスを提供していくと表明した。
IBMがこのような決定を行った背景を、日本IBM スマーター・クラウド事業部 理事 クラウド・マイスター 紫関昭光氏は「グローバルにおけるIaaS、PaaSには、現状、インターオペラビリティ、ポータビリティがない。PaaSは便利だが、一度使ったらホストベンダーから二度と抜けられなくなる。また、PaaSはほとんどのベンダーでプライベートクラウドをサポートしていない。クラウドサービスは、小さく始めて、大きく育てろといわれるが、大きく育つとプライベートクラウドに移行できないため、費用もそのまま大きく育ってしまう。IBM内では、IaaS、PaaSのインターオペラビリティを実現しているが、オープン・クラウド・アーキテクチャー ベースに開発することで、ベンダー間のインターオペラビリティ、ポータビリティを実現する。TOSCAは、クラウドにおいて1つの鍵を握る」と述べた。
紫関氏はオープン・クラウド・スタンダードを採用するメリットについては、デバイスを提供するベンダーは、OpenStackをサポートしておけば、いろんな人に使われる可能性が出てくるのと同時に、大きなエコシステムが構築でき、それにより、エンドユーザーに、多くの選択肢を提供できるとした。
TOSCAによるクラウドサービスは、サービステンプレートをもとに作成するが、サービステンプレートは、VM、OS、ミドルウェアなどを定義するノードテンプレート(Node Templete:型)をもとに作成され、ノードテンプレートは、どういう属性を持っているか、どいったインタフェースを公開しているか、動作するためにどんな環境か必要かなどを定義したノードタイプ(Node Type:型の型)をもとに作成されるという。ベンダーはXMLで記述されたノートタイプを公開し、クラウドサービスを提供する側は、これを組み合わせて利用し、自分たちの望むクラウドサービスを構築できるようになるという。なお、ノードタイプは継承により、別のNodeTypeを作成可能。
OASIS TOSCAのテクニカルコミッティー・スポンサーには、IBMのほか、CA Technologies、Cisco、Citrix、EMC、HP、Red Hat、SAPなどが名を連ねている。
IBMSmarterCloudには、クラウドを構築するためのハードウェアやソフトウェア、導入・構築サービスを提供するFoundation、iBMデータセンターから提供するクラウド・サービス(IaaS、PaaS)であるServices、クラウドを活用したSaaS、BPaaSを提供するSolutionがあるが、オープン・クラウド・アーキテクチャーをベースした製品としては5月に発表されるFoundationの中のIBMSmarterCloud Orchestratorが最初の製品になるという。そして、今後は、Foundationから提供され、その後Services、Solutionと提供され、Solutionについては、サードパーティからも提供されるという。