ラピスセミコンダクタは5月9日、868MHzの欧州スマートメータ通信規格Wireless M-bus対応の無線通信LSI「ML7406」を開発したと発表した。
昨今、各国でスマートメータへの取り組みが始まっている。欧州では、Wireless M-bus方式がデータ通信方式の主流になるとみられている。ドイツおよび周辺国で普及が見込まれる868MHz帯域のWireless M-busには、3つのモードが存在しており、運用形態により、モード別に信号を判別する必要がある。従来は、モードやメッセージを判別するためのパケット処理をマイコン側のソフトウェアで処理するのが一般的で、マイコンに負荷がかかり、消費電力増加の原因となっていた。
このような中、同社は、Wireless M-bus上で動作するOMS(Open Metering System)プロトコル策定の主要メンバーに名を連ねている他、同プロトコルの大手ベンダであるSteinbeisと共同で、パケット処理ハード化のための仕様開発を行ってきた。そして今回、同製品にWireless M-busパケットハンドラを搭載した。Wireless M-busパケットハンドラは、CモードとTモード相互運用のための同時待ち受け機能や、CモードのFormat-AとFormat-Bメッセージの自動判別機能、自機宛てパケットなのか他機宛パケットなのかを自動判定するアドレスフィルタ機能などをハードウェアで処理することができる。これにより、従来のソフトウェア処理のシステムに比べ、マイコン稼働率を約2割低減でき、消費電力の削減に寄与するという。
なお、Wireless M-bus用のプロトコルスタックにおいて、EN113757-4:2011準拠のTモード、Cモード、Sモード機能をすべて盛り込んだサンプルソフトおよびCソースコードが提供できる。 また、OMS方式のメータ製品にそのまま使用できる業界標準のOMS準拠プロトコルスタック、およびWireless M-busプロトコル解析ソフトもSteinbeisよりライセンス可能となっている。
なお、サンプル価格は500円。2013年4月より・サンプル出荷を開始し、9月より量産を開始する予定。