富士通は、SDN(Software Defined Networking)の考え方に基づき、ICT基盤全体をネットワークワイドに最適化する新アーキテクチャ「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture」を新たに確立し、これに基づいた製品の第一弾として、コンバージドファブリックスイッチと仮想アプライアンスプラットフォーム「FUJITSU Network IPCOM VXシリーズ」などを発表した。

「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture」は、データセンター、広域ネットワーク、スマートデバイスという3つのICT領域を、ソフトウェアにより管理制御するためのアーキテクチャ。今後、同社のネットワーク製品は、このアーキテクチャに基づき提供されるという。

同アーキテクチャは、データセンターにおいては、サーバ/ストレージ/ネットワークを一括制御して運用性を向上、広域ネットワークにおいては、経路と帯域の制御、遅延の抑制、災害・障害時の広域ルート切り替えを実現。スマートデバイスにおいては、移動するデバイスの状態管理、用途や状況に応じた設定変更を可能にする。

「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture」

今回、これに基づいた製品の第一弾として、データセンター向けに、サーバ・ストレージ・ネットワークリソースの一元管理・制御ソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Resource Orchestrator」の機能強化版、ネットワーク仮想化対応スイッチ「コンバージドファブリックスイッチ」、および仮想アプライアンス「FUJITSU Network IPCOM VXシリーズ」の3つを新たに提供する。いずれも出荷開始は6月を予定している。

「FUJITSU Software ServerView Resource Orchestrator」では、仮想化集約や統合、プライベートクラウドなどの複数のサーバ・ストレージ・ネットワークのICTリソースを一元的に管理し、要求に応じて必要なリソースを配備。各種設定を自動的に行うリソース管理を行い、データセンター領域でのSDNを実行する。このソフトは既存ソフトだが、今回、ネットワーク仮想化対応スイッチや仮想アプライアンスを含めたネットワーク機器の管理・制御機能を強化した。

「FUJITSU Software ServerView Resource Orchestrator」

具体的には、仮想サーバ・仮想ストレージ・仮想ネットワークの自動配備・自動設定を行い、今回提供するネットワーク仮想化対応スイッチ「コンバージドファブリックスイッチ」と連携して、仮想サーバの追加・削除・移動に伴うネットワークの自動設定や、同じく今回提供する仮想アプライアンス「IPCOM VXシリーズ」と連携して、仮想システム配備時に、システムごとのファイアウォールやサーバロードバランサも併せて配備する。価格は23万円(税別)から。

ネットワーク仮想化対応スイッチ「コンバージドファブリックスイッチ」は、仮想サーバのライブマイグレーションに連動し、自動的に仮想ネットワークを設定・変更するネットワーク仮想化スイッチ。スイッチ制御のために用意していた管理用のネットワークは不要となり、複数のスイッチを1台のスイッチとして一元管理できる。スイッチには、Top Of Rack型と、同社のブレードサーバPRIMERGYに内蔵するタイプの2種類がある。価格はTop Of Rack型が360万円(税別)から、PRIMERGY内蔵型が180万円(税別)から。

Top Of Rack型

PRIMERGY内蔵タイプ

「コンバージドファブリックスイッチ」

「FUJITSU Network IPCOM VXシリーズ」は、ファイアウォールやサーバロードバランサなどの機能を統合したネットワークサーバ「IPCOM」を仮想化し、1台のハードウェアで複数の仮想「IPCOM」を動作可能にした仮想アプライアンス。これにより、従来、仮想システムごとに独立に配備していた「IPCOM」を、今回提供する「IPCOM VXシリーズ」 1台で複数の仮想システムに対応できるようになる。価格は190万円(税別)から。

FUJITSU Network IPCOM VXシリーズ」

同社では今後広域ネットワーク対応製品を2013年度中、スマートデバイス対応製品を2014年度中に提供を開始する予定。なお、OpenFlowや他社製品への対応は、今後の動向を見ながら検討していくという。