計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは5月8日、同社の信号生成ソフトウェア「Agilent N7609B GNSS用シグナルスタジオ」を拡張し、中国の全地球航法衛星システム「Beidou(北斗)」に対応したリアルタイム・マルチサテライトのシミュレーション機能を追加したことを発表した。これにより、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileoとあわせ、すべての全地球航法衛星システムに対応したこととなる。
Beidouは、CompassもしくはBeidou 2の名称でも知られる全地球航法衛星システムで、2012年12月よりらアジア太平洋地域でサービスが開始。現在、16基の人工衛星が使用されており、2020年には計画中の35基すべての人工衛星の配備が完了する予定で、Beidou B1Iオープン・サービス信号に関する仕様が記載された「Interface Control Document(インタフェース制御文書)」の正式公開後、対応チップセットや受信機の開発が、各所で進められている。
今回提供される信号生成ソフトウェア・オプション「Agilent N7609Bオプション WFP GNSS用シグナルスタジオ、Beidou 対応リアルタイム信号生成およびシナリオジェネレータ」を用いることで、そうしたBeidou B1I衛星信号のリアルタイム・シミュレーションが可能となるため、固定型受信機、および移動型受信機のシミュレーションができるようになるほか、シナリオジェネレーション機能も実装しているため、ユーザ独自のシナリオの作成や編集も可能だという。
なお、同オプションは、同社のXシリーズ信号発生器「Agilent N5172B EXG」、および「Agilent N5182B MXG」で利用が可能なほか、今後、ベースバンド発生器・チャネル・シミュレータ「Agilent N5106A PXB」にも対応していく予定だという。
すでに出荷を開始しており、価格はGPS、GLONASS、Galileo対応のN7609B 既存ユーザ向けで132万5469円(税別)、新規にN7609Bを導入する場合は162万9748円(税別)となっている(この価格はソフトウェアのみで、実際に信号を発生させる場合、信号発生器が別途必要となる)。