Integrated Device Technology(IDT)は、高度かつスケーラブルな分散型電源を構成可能なマルチコア・プロセッサを使用する携帯型機器向け電源管理ソリューションを発表した。

同ソリューションは、特許取得済みの技術により、電源管理IC(PMIC)に変更を加えることなく、必要に応じて出力電流を増やすことのできる柔軟性を実現しており、これにより、負荷変動の大きいSoC用の電源に求められる要件を満たしつつ、プリント回路基板の配線や放熱に関する設計上の課題の解決容易化も図ることが可能になると同しゃでゃ説明し散る。

具体的には、メインのPMICが、通信用の信号線を介して、スケーラビリティを実現するための外付けの小型電源IC(スケーラブル電源IC)を制御するというもので、従来ソリューションでは、用途ごとに異なるPMICが必要であったが、同ソリューションでは、電源についての要件がそれぞれ異なる多様なプロセッサ・プラットフォームに対し、再利用や最適化が可能な単一のPMICによって対応することができるため、設計/開発にかかる時間とリスクを最小化することが可能になるという。

また、スケーラブル電源ICを分散配備できることから、POL(Point of Load)方式での電源制御や、プリント回路基板の配線設計、放熱設計の各課題に対する高い効果を得ることができるようになる。

このIDT社の革新的なアプローチは、タブレット端末や、フィーチャフォン、スマートフォン、電子書籍端末、ハイエンドのデジタルカメラといった最先端の携帯型機器や、クライアントSSD、セットトップ・ボックスなどに対する理想的なソリューションとなります。

ソリューションは、5個の同期式降圧型DC/DCコンバータ、11個のLDOレギュレータ、1個のリアルタイム・クロック回路、1個の10ビットA/Dコンバータ、複数のGPIO、1系統の高速I2Cインタフェースを集積したPMIC「IDTP9165」とスケーラブル電源IC「IDTP9167」で構成されており、IDTP9165が、最大8個のIDTP9167を制御。個々のIDTP9167により、最大6Aまでのピーク電流を効率良く追加することが可能なほか、分散配備の構成をとることにより、熱がプリント回路基板全体に拡散されるため、基板の配線設計や、多くの課題を伴うPMIC周辺の設計が容易になったり、電力の付加に伴う過渡的な電流/電圧の変化がスケーラブル電源ICの近くに収まるため、EMI(電磁妨害)や誘導性の干渉を抑制することも可能になるという。

また、同ソリューションの制御システムは、感度の高すぎるアナログ・フィードバック信号線やPWM(パルス幅変調)用の独立した信号線を使用しない独自の2線式インタフェースを活用することで実現されており、これによりプリント回路基板上の配線数削減ならびに、信号間の干渉抑制が可能になるという。

さらに、シグナル・インテグリティ(信号品質)の校正を自動的に行う機能により、近接配線や配線長に関する問題を回避しつつ、システムを最適化するために、PMICから分離して、スケーラブル電源ICを分散配備することが可能になるという。

なお、2製品ともに、すでに特定顧客向けにサンプル出荷を開始しているという。

分散型電源を構成可能なマルチコア・プロセッサを使用する携帯型機器向け電源管理ソリューション(PMIC「IDTP9165」とスケーラブル電源IC「IDTP9167」)