山崎製パンは、富士通と共同で、パンの受注から請求までの基幹業務を強力に推進する「ヤマザキ基幹システム」を刷新し、稼働を開始したと発表した。
本システムは、これまで30年来、工場ごとのホストで分散稼働していた基幹システムをSOA基盤上に刷新し、国内20拠点の工場における1日400万件をこえるリアルタイムな受注情報の一元化を可能とする受注処理、工場間の生産調整を容易に行える発注処理、工場と約10万店舗ある販売店を結び配分・配送を行う物流処理など、各システムのデータ連携や全社的なシステムとして全体最適を行い、これまで各工場の業務に応じて設計されていた受注、発注、物流、売上・請求システムを、データの属性や処理の流れなどプロセスから整理し、今後のビッグデータ活用に向け、全データの一元管理・利用を可能にしたもの。
基盤には、SOAの考え方にもとづき、システム間のインタフェースの違いを吸収し、様々なサービスやシステムと連携できる、富士通のエンタープライズサービスバス製品「Interstage Service Integrator」を採用した。
今後、グループ売上1兆円を目指すにあたり山崎製パンが構想しているプライベートクラウド「ヤマザキクラウド」を見据え、業界標準・柔軟性・拡張性を考慮し、システムIT基盤「ヤマザキ標準基盤」を開発。この基盤を関連システムや、グループ全体へと拡大することで、グループ全体で使用する「ヤマザキクラウド」の確立を目指す。
また、広域災害を想定しその影響を最小限に抑えるため、バックアップセンターを大阪に設置し、RPO(Recovery Point Objective)を30分と想定した基幹システムとのデータ同期を行う。万が一の場合、本センターに切り替えることで業務継続が可能となり、被災地以外への通常の食糧配送はもちろんのこと、滞りなく被災地への食糧支援を行える。同センターは7月以降に本格運用を開始する。
山崎製パンは今後、今回構築したSOA基盤をはじめとするヤマザキ標準基盤を元に、「ヤマザキクラウド」を構築し、関連システムを統合することにより情報量を拡大、CEP(Complex Event Processing)やHadoopなど先進技術による分析、シミュレーションをすることで、ゆくゆくはリアルタイムな収益の見える化、店着起点の需給調整の実現、グループ物流コントロールの最適化、原材料計画から生産計画への展開など、ビックデータの情報活用を目指す。