業務で利用する携帯電話やタブレットについて、従業員が自分の端末を利用するBYOD(Bring Your Own Device)が世界的に進んでいる。2017年には、従業員に端末を支給する会社は半分になるとの予想を米Gartnerが発表した。セキュリティへの懸念についても、ツールの充実によって緩和されつつあるという。
Gartnerは5月1日、最新の報告書「Bring Your Own Device: The Facts and the Future」を発表した。従業員が自分で選択・購入したクライアント端末を使用して、業務アプリケーションを利用したり、企業内データにアクセスしたりするBYODの傾向を調べたものとなる。
企業側のBYODポリシー策定が進んだ結果、2016年には38%の企業が従業員への端末支給を停止、2017年には約半分に達すると予想している。BYOD戦略を敷くことで新しいモバイル作業環境を構築し、従業員の満足度が改善するほか、コスト面でもメリットがあると見る。
CIOなど企業のIT担当から最大の懸念として上がっているデータ保護などセキュリティについても、懸念が改善されつつあるようだ。企業のITの半分が企業のモバイル端末での自社データ保護対策を高く評価しており、成熟したツールの登場などによりBYODでのセキュリティについても自信が見られるという。一方で、会社がどのプラットフォームをどのようにサポートするのか、サービスレベル、従業員側が負う責任とリスクなどについて明確にしておくことが大切とも述べている。
BYODは企業・政府と業種を問わずトレンドとなっているが、中でも従業員数が2500人~5000人、年商5億ドル~50億ドルの中規模から大企業に事例が多いという。地域では米国が先行しているが、中国、インド、ブラジルでも個人端末の利用が多い。端末の購入費を企業が負担するかどうかについては、半数の企業が購入費の一部を負担しているという。これに対し、Gartnerのアナリストは、端末は従業員が所有するため従業員が払い、企業が支給するのは通信費用などサービス料金にとどめるべきとの考えを示している。