三菱電機は5月7日、産業用TFT液晶モジュール「DIAFINE」の新製品として、タッチパネルならびに高品位グラフィックスの表示を簡単に実現するグラフィックスボードをセットにした「インテリジェントGUI搭載TFT液晶モジュール」を開発、7月1日よりサンプル出荷を開始することを発表した。

これまで組込分野においてタッチパネルを搭載した機器を提供しようと思うと、液晶モジュールのほか、タッチパネルの選定、およびグラフィックス処理の機能などを選定し、それぞれの機器に応じてソフトを開発する必要があり、少量多品種の分野では汎用のPCベースやAndroidベースのものであれば別だが、RTOSなどを用いる分野では需要はあっても、開発の工数、コストを踏まえると導入が難しかった。

そうした課題を解決し、さまざまな分野にタッチパネル技術を適用することを目的に、今回同社では、液晶モジュール、タッチパネル、グラフィックスボード、ならびに開発に向けたソフトウェアをセットとしたソリューションとして提供することを決定したという。

これにより、開発工数および開発コストの削減が可能となり、「Adobe IllustratorやFlashで作成したコンテンツをそのまま活用可能なソフトウェア"GUI Designer"を活用することで、自社での実績だが、工数を最大50%削減することに成功した」という。

液晶モジュール、タッチパネル、グラフィックスボード、そしてGUI開発ソフトをセットにして提供することで、開発工数およびコストの削減が可能になる

また、液晶モジュールは、同社独自アルゴリズムのIP「Sesamicro」を搭載した半導体デバイスで映像処理を行うことでハイパフォーマンスなプロセッサなどを用いずに60fpsの表示が可能。これにより、組込機器でも滑らかな動きのユーザインタフェースを実現することが可能になるという。

さらに日の当たる場所などでも鮮明な映像描画を実現する信号処理技術「ナチュラルカラーマトリックス」を搭載しているほか、産業用途としては-30~+80℃、車載用用途では-40~+85℃まで対応している。

同社では第1弾製品として7型WVGA(800×480)製品を産業機器のメーター用途向けにサンプル出荷を7月1日より開始する予定。通信インタフェースはUARTとRS232C、外部映像入力はCVBS/LVDS。タッチパネルの方式としては「投影型静電容量方式(PCAP)」を採用。PCAPは手袋などをしていても、タッチが可能な方式で、工場など、手袋などをしている現場でも利用が可能だという。

サンプル価格は12万円(税別)としており、量産出荷は2014年第1四半期を予定。このほか、10.6型ワイドおよび12.1型の液晶モジュールソリューションも2014年第2四半期より量産提供していく予定としている。

左はタッチパネルと組み合わせた7型液晶モジュールとグラフィックスボード。中央はグラフィックスボードを拡大したもの。中央上のシールが貼られているチップがSesamicroが搭載された同社独自チップ。メモリの読出しなどにはルネサスのRX621(100MHz駆動)が搭載されているが、映像描画は独自チップが担当するため、いささかパフォーマンスがオーバー気味だと思われるので、将来的に、グラフィックスボードのみでOSを走らせて画像処理以外のことも可能ではないか、と担当者に確認したところ、ニーズがあれば検討していくとの答えであった。右はGUI Designerの画面。swf形式の画像を取り込み、メーターを容易に作成することが可能。今後、ニーズに合わせた機能を追加していくことなどが検討されているという