ユビキタスは5月1日、HEMS機器・家電機器向けに高速電力線通信HD-PLCに対応したECHONET LiteソリューションをHD-PLCアライアンスに加盟しているハードウェアメーカー各社との協業により展開すると発表した。
HD-PLCは、パナソニック システムネットワークス社が開発した、電力線を使用した高速通信技術であり、電源コンセントを通じて家庭内ネットワークの構築やインターネット接続を可能にする。高速電力線通信には複数の方式が存在していたが、IEEEにて、それぞれのPLC方式において共存させるための規格(IEEE1901)が策定され、2010年12月にHD-PLCが認証された。
IEEE1901完全準拠のHD-PLCは、2012年12月に中国国家標準として承認、2013年1月にNIST(米国国立標準技術研究所)のスマートグリッド標準として明記されるなど、各国での標準化が進んでおり、世界的に今後の普及が見込まれている。また、日本国内においては、TCC(情報通信技術委員会)にて、ECHONET Lite規格の下位層インタフェースを実装するためのガイドラインである、「ホームネットワーク通信インターフェース実装ガイドライン」にも定義されている。
従来、HD-PLCは、Ethernet機器をコンセント経由で接続するための補助的な機器であるアダプタ製品が一般的であり、主にデジタルメディアやコンテンツサービスの配信で使用されていた。ユビキタスでは、HD-PLCの利便性に着目し、スマートグリッドや情報家電のネットワーク化での利用に向けた活動と並行して、パナソニック システムネットワークス社、メガチップスの協力を得て研究開発を行ってきた。
その成果として、ユビキタスのネットワークソリューションでの実績と技術を生かし、メガチップスが開発したHD-PLC用低消費電力「KHN13200」上に、ECHONET Liteを含む通信に必要なソフトウェアを実装。これにより、HD-PLC通信機能を機器内に実装することが可能となり、アダプタ製品なしでホームネットワークの構築やインターネット接続が可能となるだけではなく、ECHONET Lite対応機器として個別に通信機能の実装を行うことなく、開発が可能となる。
なお、同ソリューションは現在開発中であり、2013年6月の製品リリースを予定している。同ソリューションを白物家電などの機器に搭載することで、従来の接続方式における課題だったEthernetを活用した時の配線、無線LANを使用した際の接続・設定の難しさを解消することが可能となる。
ユビキタスは、同ソリューションをメガチップスのチップ向けにソフトウェア開発キットのライセンスを提供するとともに、自社開発の電力見える化ソリューションである電力計測機器製品での採用や、クラウドサービスとの連携およびOEM提供の拡販に活用する予定。