キャリアパスやキャリアプランというと、「昇進」を連想する人も多いのではないだろうか? 社内での昇進はもちろん、転職によるステップアップもある。だが、成功しているビジネスパーソンの中には、あえて一歩後退したり、横道に逸れることでキャリアを進めたという人がいる。どのような場合にステップバックルートをとるべきか、Wall Street Jounalが記事「どうやって後退しながら前進するか(原題 : How to Get Ahead By Going Backward)」で分析している。

Alan J. Lacy氏は30代でKraft Foodsの会計係となった。だが前任者は退職まで20年以上同じポストを務めていたなど長く在籍する職種だということがわかった。同じ財務分野でも他のことがやってみたいし、海外にも出てみたい。そこで、目標は公開企業の最高財務責任者(CFO)になること、と定めて海外拠点に異動させてもらった。

結果は出た。Lacy氏は35歳にして公開企業のCFOを務め、41歳で百貨店Sears, Roebuck & CompanyのCFOに。しかし、Lacy氏はそこでも、CFOで終わりたくないと決断、Searsでクレジット事業に携わることに。最終的にSearsがKmartに買収されるまでCEOを務めた。

Lacy氏のように"Cレベル"を目指さない控え目な人だって、ステップバックによるステップアップを検討する価値はある。だが、後退することは所得が減るだけでなく、知名度にも影響する。まずは明確な目標を持ち、これらの一時的なマイナス要素を受け入れられる準備があるかを考えるべきだろう。記事ではほかに、以下のようなチェック項目を並べている。

  • 自分に何が必要か(不足しているか)を理解している
  • 挑戦するのが好きだ
  • 情熱に向かって進むタイプだ
  • 以前のキャリアパスに戻ることができる
  • ある程度の貯蓄がある
  • 綿密な計画がある
  • 失敗しても再スタートできる年齢だ

一方で、注意点もある。感情的な理由で後退を選ぶことはリスクがさらに高くなる。また、後退とはいえど、目標に向かって進んでいるのか、それとも"逃げ"の結果なのか――モチベーションを再確認したい。

昇進であれ、後退であれ、あなたがなりたい自分像をきちんと描いていることが大切といえそうだ。