Infineon Technologiesは、ミリ波の無線バックホール向けSiGeトランシーバ「BGTx0」ファミリを発表した。
同製品ファミリは、消費電力が低いため高速転送のミリ波無線バックホール通信システムにおける固定費の削減が可能。また、データ転送速度は、LTE/4Gの基地局・コアネットワーク間で1Gビット/sを上回っており、無線データリンク市場向けで効果を発揮すると同社では説明している。
包括的な無線周波数(RF)フロントエンドを採用しており、57~64GHz、71~76GHz、81~86GHzのミリ波帯域の無線通信に対応しているほか、ベースバンド/モデムとの組み合わせにより、LTE/4Gネットワークに対応したモバイル基地局の無線バックホールリンクで、実装面積が少なく、高信頼性ながら低コストのシステムを実現することが可能となる。
BGTx0は、RFの構成要素となるI/Qモジュレータ、電圧制御発振器(VCO)、パワーアンプ(PA)、ローノイズアンプ(LNA)、プログラマブルゲインアンプ(PGA)、SPI制御インタフェースなどが、eWLBパッケージによって1チップに集積されている。これにより、1チップのシステム設計で使用される10種類以上のディスクリートデバイスを置き換えることができる。
また、ビルトインセルフテスト(BIST)を使用することで、生産時にRF性能の検証とキャリブレーションを行えるため、チップをデバイスビルダーの生産フローにチップを組み込みやすくなる。さらに、標準的なSMTの組立フローを今後も使用できることから、組立プロセスは従来に比べて簡素化することが可能になるという。
同製品群は、PAで最大18dBmの出力能力、LNAで6dBという低ノイズ指数、100kHzのオフセットで-85dBc/Hzを上回るVCO位相ノイズなど、SiGe技術によるRF性能で、10-6のBER(ビット誤り率)により、QAM64およびQAM32までの高い変調スキームの実装が可能となる。また、1kVを上回るESD(静電放電)耐力により、堅牢性の向上が可能となり、システム設計の容易化が進む。さらに、2W未満という低消費電力を実現している。この他、トランシーバの直接変換アーキテクチャにより、RFとベースバンドのインタフェースは、市販のディスクリートミリ波システムに比べ、シンプルなものを実現できるという。
なお、同製品郡は9月よりサンプル出荷を開始するほか、量産は2013年内の開始を予定している。