トヨタ自動車は、クルマの総合サイトである「GAZOO.com(ガズー・ドット・コム、以下GAZOO)」を一新し、5月30日より、サービスを開始すると発表した。

GAZOOは、トヨタ自動車の業務改革としてスタート。中古車の無駄を省くことを目的に1998年4月に立ち上げが行われた。「GAZOO」は、画像(GAZO)が動物園(ZOO)にような集まったサイトを意味するという。

同サイトの目的は、新しい世代の顧客と直接つながる場を作ることで、2006年のリニューアル以降は、若年層のネットユーザーの獲得を目指し、潜在顧客とすることを狙いに「ユーザー参加型クルマポータルサイト」と位置づけている。

現在のGAZOO。左から新車情報、中古車情報、名車館

GAZOOでは、トヨタ自動車だけでなく、国内外の全メーカーの新車情報のほか、全国のドライブ情報を掲載。また、サイトの中核となる中古車も画像付きで紹介しているほか、世界の名車を紹介する「名車館」もある。現在の利用者は2008年の3倍近くに増加し、月間約165万人が利用。一般的なトヨタの利用者に比べ、若年層の獲得にも成功している。

GAZOOの利用者数の推移

GAZOOの利用者とトヨタ自動車購入者との年齢層の違い

しかし、多様化するカーライフ、若い世代の二ーズをとらえていない、デバイスの多様化への対応、増大するコストなどの課題が出てきたため、GAZOOを再構築することになったという。

GAZOOの課題

再構築のテーマは、「若年層をターゲットとしたGAZOOの特徴をより強化する」、「将来の端末やネットサービスへの適合」、「活用の幅を広げるとともに、改良や運営に関するコストの低減」の3つ。

リニューアル後は、ユーザー同士やユーザーとクルマがつながる社会の一層の発展を念頭に、SNSの導入やスマートフォンを活用したドライブ先でのガイド機能の充実、ひとり一人が求める情報を精度よくまとめるパーソナライズ機能や自動車情報の大幅な拡充を図る。主なターゲットはヤングファミリー層だという。

スマートフォンを活用したドライブガイド機能

SNSの連携

また、GAZOOの会員制度とトヨタブランド車の情報サイトである「TOYOTA.jp」の会員制度を統合。さらに新規に導入するSNSについて、FacebookやTwitterサービスの連携を図り、より便利で充実した新しいカーライフスタイルを提案する。なお、将来的には、米Microsoftが昨年の6月に買収した企業向けのSNSツール「Yammer」の統合も考えているという。

これらを実現するため、トヨタ自動車ではプラットフォームとして、4月16日(米国時間)から正式サービスとして提供されているWindows Azureの仮想マシンと、Windows Azure上に構築したSharePoint Server 2013を採用した。両者を組み合わせたシステムの採用は世界初だという。

トヨタ自動車は、2011年4月に米Microsoftと「Windows Azure」をベースとしたトヨタの次世代テレマティクス向けグローバルプラットフォームの構築に向けた提携について基本合意し、トヨタの社内グローバルITシステム構築にあたり、協力関係を強化している。今回のサイト一新もこの提携に基づくもの。

トヨタ自動車とMicrosoftとのパートナーシップ

Windows Azureを採用した理由は、「膨大な情報の管理と柔軟なアクセスを低コストで実現できる」点だといい、トヨタ自動車 e-TOYOTA部 部長 山田博之氏は、1年後に利用者数月間約200万人、コスト半減を実現したいと語る。

また、日本マイクロソフト 執行役 常務 エンタープライズビジネス担当 小原たく哉氏は、SharePoint Server 2013が採用された理由として、30万ページという情報を検索するためのエンタープライズサーチ機能のほか、SNS関連機能などを挙げた。

トヨタ自動車 e-TOYOTA部 部長 山田博之氏(左)と日本マイクロソフト 執行役 常務 エンタープライズビジネス担当 小原たく哉氏(右)

マイクロソフトでは、今回のサイト一新にあたり、日本マイクロソフトのエンタープライズサービス部門がプライムコントラクターとしてシステム構築を実施し、米MicrosoftがWindows AzureとSharePoint Serverのリリース前の技術情報を提供。インドのMicrosoft Services Global Deliveryがオフショア開発を行ったという。

Microsoftの支援体制