NEC、オリックス、エプコの3社は4月25日、国内初の蓄電池レンタルサービスを家庭向けに4月26日より提供するとを発表した。初期費用がかからない月額課金で販売する。
同サービスは、一般家庭向けにNEC製の定置用蓄電池(容量:5.53kWh)とエプコ開発のスマートハウス向けアプリケーション「ぴぴパッ!」をクラウドデータ連係により組み合わせるシステム。新築/既築、HEMS機器の有無、太陽光発電設備の有無といった条件にかかわらず、初期投資の要らないレンタルモデルで利用できる点が大きな特徴となっている。
サービスは、4月26日より東京電力管内を対象として先行受付が行われる。実際に住宅への取り付けが開始されるのは6月1日以降。全国展開は未定だが、関西地区では下半期のサービスインを目指し、2015年度までに10万軒の家庭への導入を目指すという。サービス提供会社はNEC、オリックス、エプコの3社が共同出資する「ONEエネルギー」。
プランは「蓄電池レンタルプラン」「蓄電池レンタル+太陽光屋根借りプラン」の2種類が用意される。「蓄電池レンタルプラン」では蓄電池および関連システムがレンタルされる。利用料金は4,900円。東京都居住者については、都から省エネに関する補助金が交付されるため、実質、月額2,900円で利用可能となる。基本契約期間は10年で、中途解約を行った場合、解約金(残り契約月×月額料金)が発生する。
一方、「蓄電池レンタル+太陽光屋根借りプラン」では太陽光発電設備と蓄電池、関連システムがレンタルされる。利用料金は4,900円だが、同プランでは居住者の屋根を"間借り"する形で太陽光発電設備を設置するため、ONEエネルギーから屋根賃料として2,500円(4kW太陽光パネル設置の場合)が居住者に対して支払われる。基本契約期間は20年で、中途解約を行った場合、解約金(残り契約月×月額料金)が発生する。
ONEエネルギーは、経済産業省が2012年7月に発表した「蓄電池戦略」における蓄電池の普及に向けた施策に基づき、定置用蓄電池のレンタルモデルによるエネルギーサービスとして企画された。背景としては、東日本大震災を契機とした電気料金の値上げや、電力需給の不安定化などで節電のニーズが高まったことが挙げられる。サービス導入により、電気料金の家計負担を抑えられ、非常時の電力として活用できるなどのメリットが見込めるという。
設立にかかわる3社は、リースやレンタル事業で培ったノウハウを持つオリックス、電気自動車「日産リーフ」などへのリチウムイオン蓄電池の納入実績を持つNEC、住宅の設備設計に強みを持つエプコ、と今回の事業に対してそれぞれにノウハウ/技術を提供できる企業が集まっている。
これまでの家庭用定置型蓄電池は「初期費用120~140万円と決して安くはないことから、家庭での導入が遅れていた」という。それに対して、ONEエネルギーではレンタルで提供されるため、初期費用が0円で済む。契約期間こそ10年と長期に及ぶが、標準プランである月額4,900円でも10年間で62万円と、費用を圧縮できるよう設計されている。
また、容量性能保証が付くのも同サービスの特徴だ。「日産リーフにも導入されている蓄電池であり、性能に自信はあるものの、そこは耐久消費財。万が一、電池が『へたり』を起こしてしまった場合、クラウドの監視サービスによって会社が検知、モジュール交換を行う」とONEエネルギーの吉田営業部長。想定以上の容量低下が起こった時点で追加料金なしで交換を行う。
今回Oneエネルギーに参加したエプコは、電力消費予測、太陽光発電設備による発電供給量予測といった電力の統括管理システムを取り扱う企業。今回の事業では、Smart Houseアプリ「ぴぴパッ!」で節電の「見える化」を果たすという。なお、アプリ名の由来についてエプコ CEO 岩崎辰之氏は「ぴぴっと簡単。パッと充電」と説明している。
太陽光発電設備は、気象状況によって発電量が大きく左右されるが、ぴぴパッ!では、翌日の気象予測を元に発電時間帯、充放電を行う時間帯をアプリで提示し、需給予測を示しつつ節電に対する意識を高めることで導入置効果を高めていくという。ぴぴパッ!はWebブラウザからアクセス可能なほか、iPhoneアプリも提供。7月にはAndroidアプリも投入される予定。
ONEエネルギーではこのシステムの販売を通して、電力の効率管理が可能なスマートハウスの普及を目標としており、政府構想などで注目を集めているスマートシティへの足掛かりとして「トップランナーでゴールを目指していきたい」(ONEエネルギー 吉田氏)としている。