富士通は、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスによる企業のワークスタイル変革を支える情報活用ソフトウェアとして、新たな3製品をリリースするとともに、機能強化した5製品を発表した。
新たな製品としてリリースするのは、モバイルアプリケーションサーバ「FUJITSU Software Interstage Mobile Application Server V1」(以下、Mobile Application Server)、AR(拡張現実)統合基盤「FUJITSU Software Interstage AR Processing Server V1」(以下、AR Processing Server)、データを加工して分析・予測する「FUJITSU Software Interstage Business Analytics Modeling Server V1」(以下、Business Analytics Modeling Server)の3製品。
Mobile Application Serverでは、機種ごとに異なるGPSやカメラを同一のアプリケーションで制御できる。共通のフレームワーク(API)により、アプリケーション開発者はJavaScript、HTML5、CSS3などオープンな標準言語で、Android、iOS、Windows 8など異なるプラットフォームの違いを意識することなく開発できる。
また、スマートデバイス上の業務データの暗号化などのセキュリティと、位置情報などあらかじめ定義した条件に合致した際のデータの自動消去、シングルサインオンでのシステム認証などの機能を提供する。価格は125万円(税別)。
AR Processing Serverは、ARマーカーにスマートデバイスのカメラをかざすだけで、利用者に応じて最適な情報を現物に重ね合わせて表示する開発・実行・管理の機能を備えたAR統合基盤。
内蔵カメラやタッチパネルの操作で現物に合わせて情報を登録できるオーサリング技術(特許出願済)で、点検・保守などの作業現場で、作業手順やプロセスを追加・拡充できる。照度・距離・手ぶれに強い富士通研究所のARマーカー技術(特許出願済)により、店舗やプラントなどの環境でも利用できる。点検保守以外にも、デジタルサイネージなどの利用も想定している。価格は110万円(税別)。
Business Analytics Modeling Serverは、ビッグデータの分析だけでなく、分析に必要なデータの収集・加工まで含めたプロセスを作成できる分析・予測ソフトウェア。データの収集・加工から分析・予測、データ出力までの一連の操作を1つのフローで定義でき、約30種類のデータ収集・加工部品、200種類を超える分析シナリオを提供する。価格は350万円(税別)。
そのほか、機能強化した製品として、スマートデバイスも含めてセキュリティのライフサイクル全体を一元管理できるソフトウェアで、スマートデバイスのセキュリティ設定をはじめ、利用するデバイスの制御や操作ログによる監査まで管理する「FUJITSU Software Systemwalker Desktop Patrol V15」(税別25万円より)、および「FUJITSU Software Systemwalker Desktop Keeper V15」(税別48万8,000円より)、スマートデバイスや遠隔地を結ぶ高速転送ソフトウェア「FUJITSU Software Interstage Information Integrator V11」(以下、Information Integrator V11、税別150万円より)、PostgreSQLインタフェースのデータベースで他のデータベースとの互換性も強化した「FUJITSU Software Symfoware Server V12」(税別40万円より) 、オンデマンド型バッチの処理性能を高速化する 「FUJITSU Software Systemwalker Operation Manager V15」(税別30万円より)をリリース。
「FUJITSU Software Interstage Information Integrator V11」では、Webアプリケーションのダウンロードや画像表示、ファイル転送が高速になり、仮想デスクトップをスマートデバイスから利用する場合は、表示速度を従来の7倍に、東京・米国間では従来の60倍の高速データ転送を実現するという。これは、同社独自の誤り訂正技術とUDP通信により、TCP/IPの高速化をソフトウェアで実現している。
富士通 統合商品戦略本部長 阪井洋之氏は「企業でのスマートデバイスの導入が、大企業を中心に進んでおり、この1年で2倍になっている。富士通においても、2012年の商談件数は4倍、受注件数は3倍になっており、乗数係数の大きい市場だ」と述べる。
同氏は、最近のスマートデバイス商談の特徴を、コミュニケーションツールとしてだけでなく、ビジネス変革に向けた活用・新しいビジネスモデルの確立が拡大しているほか、POSなどの専用端末の置き換えが進展していると述べる。
また、BYOD対応のセキュリティの商談や、農業、在宅医療、介護、教育などICT未活用領域への適用も拡大しているという。
富士通 ミドルウェア事業本部長 新田将人氏は、「業務のスピードアップヘの期待が高まっており、スマートデバイスをリアルタイムに利活用することや、さまざまな現場状況に対応する新しい情報システムが求められている」と語り、そのために、スマートデバイスを利活用する技術、情報利活用する技術、高速転送技術、セキュリティ技術の4つの技術が必要だとした。
今回発表された製品では、スマートデバイスを利活用する技術がMobile Application ServerとAR Processing Server、セキュリティ技術がSystemwalker Desktop PatrolとSystemwalker Desktop Keeper、情報利活用する技術がInterstage Information Integrator、Symfoware Server、Systemwalker Operation Manager、そして高速転送技術がInterstage Information Integratorに該当するという。