イーソルは4月24日、XilinxのARM Cortex-A9 MPCoreマルチコアプロセッサとFPGAを融合させたAll Programmable(AP) SoC「Zynq-7000」に対応した「eT-Kernel/Zynq-7000 AP SoC評価キット」を発表した。2013年第3四半期の発売を予定している。

同評価キットには、イーソルのリアルタイムOS「eT-Kernel」のマルチコアプロセッサ対応版「eT-Kernel Multi-Core Edition」を中心に、開発ツール「eBinder」およびアプリケーション評価に必要なミドルウェア、ドライバが含まれている。これを利用することにより、Zynq-7000やeT-Kernelの性能と品質の評価を、迅速に低コストで行うことができるようになるという。eT-KernelはμITRONの機能とアーキテクチャを引き継いでいるため、μITRONのソフトウェア資産を利用した評価も容易だという。

同評価キットでは、Zynq-7000評価ボード上のランタイム環境として、「eT-Kernel Multi-Core Edition」に移植済みのファイルシステム、TCP/IPプロトコルスタック、USBホスト/デバイススタックに加え、評価ボード上の各種周辺コントローラに対応したSDメモリカードドライバ、イーサネットドライバ、ディスプレイドライバなどの周辺ドライバが提供される。評価用アプリケーションの開発やデバッグ、検証用のツールとして一緒に提供されるT-Kernelベースシステム開発スイート「eBinder」は、マルチコア向けソフトウェア開発で重要なマルチプログラミングと、複雑なマルチコアシステムのデバッグや解析を支援するさまざまな機能を提供する。これらを利用することで、低コスト、短期間の評価が容易にできる。

また、評価後、eT-Kernelを中心とするイーソルのソフトウェアプラットフォームを利用することで、Zynq-7000の高い性能と拡張性を生かしながら、μITRONのソフトウェア資産を再利用した効率的なソフトウェア開発と、高いリアルタイム性と信頼性が実現するため、グラフィックスやネットワーク機器などの高度な機能を搭載する車載機器、産業機器、医療機器などの幅広い組み込みシステム開発に最適だという。

なおイーソルは、Xilinxが運営するパートナープログラム「ザイリンクス アライアンス プログラム」のメンバーであるほか、これまでに複数のARM11/ARM Cortex-A9 MPCoreマルチコアプロセッサをサポートした実績と経験より、ARM MPCoreの機能や特性について深く知見を有しているとコメントしており、今後も、Xilinxとの連携により、リアルタイムOSの専門技術とノウハウを生かし、Zynq-7000を利用する組み込みシステム開発の支援を行っていくとしている。