シャープは4月24日、3つの光吸収層を積み重ねた化合物3接合型太陽電池セルを用いて、従来比で0.2%の性能向上となる世界最高変換効率となる37.9%を達成したと発表した。

これは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新的太陽光発電技術研究開発」テーマの一環として同社が開発を行っていたもので、産業技術総合研究所(産総研)において変換効率の測定が行われた。

変換効率37.9%を達成した太陽電池セル

化合物太陽電池セルは、InやGaといった2種類以上の元素からなる化合物半導体を材料とした、光吸収層を持つ変換効率の高い太陽電池。同社が開発した化合物3接合型太陽電池セルは、InGaAsをボトム層として3つの層を効率よく積み上げて製造する独自の技術を採用している。

太陽電池セル構造と化合物3接合型太陽電池の感度の波長分布

今回ボトム層を形成するInGaAsの組成比を最適化することで、太陽光の波長に合わせてより効率的に光を吸収できるようになり、変換効率37.9%を達成したという。

なお同社では、今回の開発成果を元に、レンズで集光した太陽光を変換する集光型発電システムや、人工衛星、移動体などの用途での実用化を目指すとしている。