Intelの日本法人であるインテルは4月19日、都内で「ビッグデータ活用時代を勝ち抜くためのインテリジェントシステム」と題した会見を開き、2013年5月8日より東京ビッグサイトにて開催される「第16回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」の展示内容などの説明を行った。

Intelでは、ネットワークに接続された高度な処理を行う組込機器のことを「インテリジェントシステム」と呼んでいるが、ビッグデータやクラウドの普及が進む中でクライアント端末として組込機器に注目が集まってきているという。

そうした背景として、同社は2015年までに150億台の組込機器がネットワークに接続されるようになるということをこれまで、幾度となく語ってきた。また、そうなった場合のネットワークに流れるデータの総量は1.8ZB(18垓バイト)に及ぶとする。ZettaはTera、Peta、Exaと続くその次の単位であることを考えるとどれだけ膨大なデータ量であるか、ということが分かると思われるが、すでにそうした兆候はあり、同社が協力している中国のスマートシティプロジェクトでは、カメラの録画データのみで1日あたり6.7PBの容量を要しているほか、2009年のデータだが、製造業で用いられる製造装置が1年の間に記録したデータの総量は966PBであるという。そのため同社でも150億台の組込機器が活用されるようになると、組込市場の規模は300兆円に及ぶとする試算をしており、「ビッグデータによる変革的なチャンス」とする。

ビッグデータの活用が進めば、末端でデータを取得するための機器が必要となり、その結果、ネットワークに接続される組込機器の台数が増大し、市場が拡大する、というのがIntelの組込分野に対する見方

300兆円市場の中心となるのが「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」であり、人がデータを生み出すのではなく、機械が自動的に大量のデータを生み出すこととなる。海外の事例だが、すでに小売店舗に設置された監視カメラを活用して、来店した顧客の性別や年齢などの属性を見分け、購入をしなかった人が、どういった行動をしているのかを分析することで、非購買者を購買者にいかに変えるか、といったビジネスインテリジェンスとして活用する企業もあるという。実際に、専門店などでは来店した人の8割が、何も買わずに店を出ていくと言われているが、こうしたソリューションを活用すると、POSデータ(購入した人のデータ)以外のデータを取得することが可能となり、購入割合を高めるための新たなアプローチを生み出すことが可能になるという。

こうしたIoTの普及拡大に向け、同社では3つの要素が重要になるとする。1つ目は「Connect」であり、さまざまな規格の機器がネットワークに接続されることとなるため、相互接続性を確保する必要が出てくる。2つ目は「Manage」であり、大規模なシステムになればなるほど、小さな障害の発生であっても、全体に与える影響は大きくなる。そうした事故を防ぐためには管理のしやすさが必要となるという。そして3つ目は「Secure」であり、データが改ざんされていないか、不正なプログラムが侵入していないか、といったシステムの安全性の確保が重要になってくるとする。

Intelの考えるIoTが普及するための3つの要素

なお同社では、そうしたことを踏まえ、ESECにおいて、これまで組み込み系展示会で見せてきた内容を深堀りする形で、より詳細な使われ方などを見せていく計画としている。また、ビッグデータへの対応ということで、2013年2月より提供を開始した独自のHadoopディストリビューション「Intel Distribution for Apache Hadoop」の紹介も行うほか、専門セミナーとしてインテリジェントシステムの組込市場における可能性を紹介したり、IAベースの組込/モバイル機器の開発者向けに提供される開発ツールセット「Intel System Studio」の紹介なども行っていく予定とし、クラウドのエッジデバイスからサーバ/ストレージ、そしてデータセンターレベルまで一貫してサポートできる姿勢を見せるものになるとした。

末端の組込機器から、そこからデータを受け取って処理するPC、サーバ/ストレージ、データセンター向けソリューション、そしてそれぞれの分野で利用可能な各種ソフトウェアまで一貫してソリューションを提供できるのがIntelの強みだという