日本マイクロソフトは、4月16日(米国時間)より、「Microsoft Windows Azure」の機能拡張を行い、昨年からPreview版として提供してきた「インフラストラクチャ サービス」(IaaS)を正式サービスとして提供を開始したと発表した。
このサービスには、ユーザーがハードウェアやネットワークなどのインフラをインターネット上のサービスとして利用できる「Windows Azure仮想マシン」や、企業などのイントラネットとWindows Azureをより安全に接続する「Windows Azure仮想ネットワーク」などが含まれる。
2010年2月に商用サービスを開始したWindows Azureでは、これまでPaaSを中心に提供してきたが、今回新たに IaaSの提供が開始されたことで、企業や団体の既存システムやパッケージソフト等を Windows Azure上で展開することが容易になり、オンプレミスからクラウドへの移行を促進する。
Windows Azure仮想マシンは、仮想化されたサーバOSを実行する機能で、仮想マシンで実行できるOSとしては、Windows Serverだけでなく、Ubuntu、openSUSE、SUSE Linux、Cent OSなどのLinuxも実行可能。Hyper-Vをベースとしており、仮想ディスクのイメージファイル(VHD)に互換性があるため、オンプレミスのHyper-Vで動作している仮想マシンのVHDイメージを、Windows Azureにそのまま移動し実行できる。
仮想マシンの料金は、仮想コアが共有、メモリが768MBのXS(A0)の1.11円/時間(6/1からは1.67円/時間)から。正式運用の開始により、Windows Azure 仮想マシンは 99.95%のSLAを提供する。
一方、Windows Azure仮想ネットワークは、Windows Azure上で仮想プライベート ネットワーク(VPN)を提供し、仮想ネットワークを使用して、DNSや仮想マシンのIPアドレス範囲の構成などのネットワーク接続を制御しながら、企業のイントラネットをクラウドに拡張できる。そのため、Windows Azure仮想マシンを利用したサーバの増強や、オンプレミスとクラウドのハイブリッド ソリューションを構築できる。
仮想ネットワークの料金は、接続時間あたり4.16円。正式運用の開始により、Windows Azure仮想ネットワークは99.9%のSLAを提供する。
インフラストラクチャ サービスでは、仮想マシンのVHDイメージをオンプレミスからWinodws Azure、Windows AzeureからISPのデータセンターにそのまま移動させて実行させることが可能で、これによりオンプレミスからクラウドへの移行をサポートする。
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドプラットフォーム製品部 部長の吉川顕太郎氏は、「仮想マシンのポータビリティを重視して開発した。お客様の環境をクラウドに移行できることがIaaSの意義だ」と述べた。
また、日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏は、「Cloud OSとしては、3つのプラットフォーム(マイクロソフト自身が運営するクラウド、オンプレミス、サービスプロバイダのクラウド)を統合的に、一元管理できることが重要だ」と述べ、新機能の利用シナリオとして、「既存サーバのクラウドへの移行」、「ハイブリッドクラウド&シングルサインオン」、「マイクロソフト製サーバ製品の展開」、「テストおよび開発環境」の4つを挙げた。
仮想マシンの作成は、ウィザード形式で、ギャラリーから選択して構築できる。作成時間は10-15分で、Windows Serverだけでなく、CentOS、Ubuntu、SUSEなどのLinuxのほか、Windows Server付SharePoint Serverなども選択可能 |
また同社は、Windows Azureの利用料金の一部を値下げし、Linuxインスタンスを約25%値下げし「4.99円/時間」としたほか、クラウドサービス(PaaS)を約33%値下げし「6.65円/時間」に変更している。
さらに同社は、昨年末に Windows Azure のサポートメニューを拡大し、Windows Azure 専用のパートナー支援プログラム「Azure Circle パートナー」を開始したのに加えて、本日より、MSDNサブスクリプションの購読者とマイクロソフト パートナーネットワークに加盟するパートナー企業のWindows Azure 無償利用枠を拡大した。