トムソン・ロイターは4月16日、2013年版の「論文の引用動向からみる日本の研究機関ランキング」を発表した。これは世界的な学術論文の刊行数やその引用数データに基づき、科学研究業績に関する統計情報と動向データを編纂した同社独自のデータベース「Essential Science Indicators」に収録されている世界の研究機関情報から、日本の研究機関のみを抽出・再集計し、論文の総被引用数順にまとめたもの。対象期間は2002年1月1日~2012年12月31日の11年間。

2013年版ランキングでは、東京大学が統計が始まった2002年から12年連続で国内総合1位を獲得したが、世界順位は前年の16位から今年は17位へと(2010年は13位)と後退している。また、全体的には総合、分野別ともに大きな変動は見られないものの、材料科学分野では物質・材料研究機構(NIMS)が前年1位の東北大学と入れ替わったほか、生物学・生化学関連では産業技術総合研究所(産総研)がトップ10入りを果たすなど、独立行政法人の健闘ぶりが見られた。

ちなみに今回の分析では、対象とする研究機関の数は中国やインドなど世界全体での学術活動の高まりから前年比7.2%増の5252機関となり、初めて5000を超えたとのことで、日本も論文数や被引用数、平均被引用数のいずれも上昇を堅持しているものの、国外の研究機関の論文数や被引用数の上昇がそれを上回っていることから、相対的な世界順位は下がる傾向にあるという。

国内研究機関の総合トップ20。前回のランキングと比較すると、13位と14位の広島大学と慶應義塾大学が入れ替わったほか、18位と19位の物質・材料研究機構と神戸大学が入れ替わった。また世界順位も東大が16位→17位、京大34位→35位、阪大44位→47位と1位から3位が下がった。以降は4位の科学技術振興機構が前年61位から59位へと上がっているほか、物質・材料研究機構が383位から381位へと上がっている以外はやはり順位を下げている。なお対象となった研究機関数は5252機関

国内研究機関の分野別ランキング(材料科学)。前年1位の東北大が同2位の物質・材料研究機構と入れ替わったほか、同6位の京大と同7位の科学技術振興機構が入れ替わっている。また世界順位は前年、東北大が3位だったが1位の物質・材料研究機構であっても4位に後退した。対象機関数は731

国内研究機関の分野別ランキング(物理学)。前年3位の阪大が同4位の京大と入れ替わったほか、同7位の産業技術総合研究所が9位に後退し、代わりに同8位の高エネルギー加速器研究機構が7位に、同9位の理研が8位に繰り上がっている。また世界順位は前年と同様、東大が3位にランクインしている。対象機関数は788

国内研究機関の分野別ランキング(化学)。前年から順位に変動はないものの、世界順位は京大の4位は変わらず、科学技術振興機構が前年12位から11位に上がった以外は、東大は前年5位から7位に、産総研が13位から14位に、阪大が14位から15位に、東北大が同20位から28位に、東工大が同27位から33位に、九大が同45位から54位に、名大が同50位から59位に、そして北大が58位から62位へと、下位になるほど下げ幅が大きくなる傾向となっている。対象機関数は1102

国内研究機関の分野別ランキング(生物・生化学)。順位は前年10位の筑波大がランク外となり、代わりに産業技術総合研究所が10位にランクインした以外に動きはない。世界順位も東大が前年同様3位を維持したほか、科学技術振興機構も同30位と動がなかったほか、京大が前年24位から23位へと上がったが、それ以外は軒並みランクを下げている。対象機関数は851

なお、分野別ランキングは、同データベースで定義されている22分野のうち、世界のトップ5位以内に日本の機関がエントリーしていた分野について総合と同様に集計を行い、それぞれトップ10をまとめたものとなっており、前年は「免疫学」が入っていたが、トップ5より外れたため、今年は「材料科学」、「物理学」、「化学」、「生物学・生化学」の4分野のランキングの公表となったという。