ヘンケルアジアパシフィック ECCビジネスディレクターのマティアス・ヴェゲナー氏 |
ヘンケルジャパンは4月11日、プラズマ電解コーティング技術「エレクトロ セラミック コーティング(Electro Ceramic Coatings。以下、ECC)」の加工/試験施設を神奈川県横浜市磯子区のアジアパシフィック技術センターに開設したと発表した。
ECCは電解法で金属表面への酸化チタン(TiO2)皮膜を形成する技術。耐食性、耐熱性、耐摩耗性に優れ、アルミニウムおよびチタンの金属疲労を軽減できるなどの効果が期待できる。
発表会では、ヘンケルジャパン ジェネラルインダストリー事業本部の飯岡秀幸氏が、上記の3つの特性について簡単に説明。耐食性に関しては、他の皮膜技術と比べて耐塩水噴霧性が大きく向上し、耐熱性では、アルマイトが200度程度のところを、その3倍の600度程度まで引き上げていることを解説。また、耐摩耗性についても高い効果が認められており、摺動部品の摩耗低減などの用途にも適していると紹介した。
さらに飯岡氏は、ECCの皮膜形成プロセスにおける利点についても言及。形成時間が約3分程度と非常に短時間なうえ、皮膜表面に微細孔ができることから皮膜上に塗装を施す場合も直接行えることを説明。塗装については化成処理やプライマー加工を省けるなどの利点があり、「生産性向上、トータルコストの削減が期待できると」と強調した。
ヘンケルジャパンでは、こうした特徴を持つECCの適用分野について、「メインとしては、自動車における駆動系部品のコーティングや、マリンエンジンの排気系部品、外観部品、油圧シリンダーを考えている」(飯岡氏)と言い、特にマリンエンジンに関しては「シェア100%を目指して推進する」と目標を掲げた。
なお、ビジネスモデルについては、特許料を受けて技術提供するかたちをとる。特許許諾を契約したパートナーに対しては、顧客側でのECCラインを建造/運営する際にサポートするほか、希望企業に対してはコーティング業務をヘンケルジャパン側で請け負う形態も用意している。