調査会社のIDCは2013年4月11日、国内のサーバ市場における仮想マシンの出荷予測を発表した。2012年には、仮想マシンの出荷台数が物理サーバのそれを上回り、2016年には、2012年の実績値69万2,500台の2.5倍に当たる174万9,500台に増えると予測している。
IDCが2013年2月に行ったユーザー調査(有効回答数434)の結果によれば、x86仮想化サーバを本番環境に導入している企業は80%を超え、ミッションクリティカル性の高い業務に活用している例も多かった。具体的には、「販売・顧客・契約管理システム」「会計システム」「データベース(基幹系)」が上位3位を占め、回答者の仮想化率は60%前後だった。
サーバの運用管理対象が仮想マシンへと急速にシフトしている中、今回の調査では仮想マシン導入のデメリットについても質問を行った。回答として多かったのは、「サーバー運用管理の煩雑化」「物理サーバー障害の影響拡大」「スケジュール調整の煩雑化」など。
IDCは調査結果を受けて、こうしたデメリットがあるにもかかわらず「ITスタッフのスキルアップに時間を割いたり、ITプロセス/ポリシーの統合および標準化、システムインベントリー管理のために構成管理データベースを実装したりするといった、投資効果を直接的に評価しにくいエリアへの対応がおざなりになっている企業が多い」と結論づけている。
IDCジャパンのサーバ リサーチマネージャーの福富里志氏は、「仮想マシンへの急速なシフトが始まっているにも関わらず、目に見えるコスト削減を優先し、物理環境と仮想化環境の運用管理や仮想マシンのシステムライフサイクル管理といった観点での取り組みを十分に行っていない企業が多い。このまま放置すると、『サーバー運用管理の煩雑化』『物理サーバー障害の影響拡大』といった仮想化サーバー導入のデメリットに遭遇し、ビジネスの機会損失を増大させる可能性が高い」とコメントしている。