デルは、米Dell CTO オフィス チーフ・イーサネット・エバンジェリスト ジョン・ダンブロシア(John D’Ambrosia)氏の来日に合わせ、現在のEthernetの動向をプレス向けに説明した。

米Dell CTO オフィス チーフ・イーサネット・エバンジェリスト ジョン・ダンブロシア(John D’Ambrosia)氏

ジョン・ダンブロシア氏は現在、IEEE802.3 400 Gigagit Ethernet Study Groupの議長代理、およびIEEE 802 Executive Committeeのメンバーで、Ethernet Allianceの会長を務めている。なお、同氏は今回述べることは、Committeeとしての公式なコメントではなく、あくまで私見である点を最初に断わっている。

同氏はまず、Ethernetの現在の動向について、「Ethernetファミリーにはさまざまな仕様があるが、高速化するとリーチ(通信距離)が縮む傾向があり、これが多くの課題を生み出している。こういった状況のなか、40GbEに向けて高速化していくことが課題だ。新しいスピードの仕様出てくると、それを新しい用途で利用したいというニーズが出てくる。そのため私は現在、40GbE/100GbEの仕様の策定にかかわっている」と述べた。

40GbE/100GbEの仕様(左が承認済み、右が策定中)

IEEE 802.3の仕様を決める活動については、スピードを追求するグループ、Ethernetのアクセス方法(EPON)を研究するグループ、ツイストペアによる次世代のアクセス方法を研究するグループなどがあり、この中には車載用のEthernetを研究するRTPGEに関する研究も行われている。RTPGEについて同氏は「今後3億ポートに達するくらい将来性がある。自動車にGbEが搭載されれば、車でビデオを見るほかにも、いろいろおもしろいことができる」と語った。

そのほか、電源供給の方法(PoE、PoDL)、産業用など研究グループがあり、同氏は「Ethernetは、今後いろんなことに使われることが想定され、先は明るい。いろんなテクノロジーが出て、エコシステムが生まれつつある」と述べた。

IEEE 802.3の動き

Ethernetの高速化でニーズが高いのはサーバ分野だが、同氏はこの市場について「サーバへの10GbEの搭載は2010年くらいから伸びており、中でも10GBASE-Tについては、2012年に前年比で800%も伸びており、有力なテクノロジーだ。今後は40GbEのサーバへの搭載が浸透していくだろう」と語った。

10GbEのサーバ搭載状況

同氏によれば、2010-2015年にかけ、グローバルでのブロードバンドの平均スピードは7Mbpsから28Mbpsに4倍になると予想されているという。ただ、課題になるのがバンド幅で、今後はユーザー側の意見を聞きながら、市場の伸びを想定してながら決めていくいく必要があるとした。

また、バンド幅以外にも、Ethernetにおける大きなトレンドしてはユーザー数の飛躍的な増加、一人のユーザーにおける複数デバイスの利用、スマートフォン、タブレット、テレビ、自動車など、使い方の多様化などがあり、今後はこれらについても考慮していく必要があるとした。

そして同氏は、「今後、Ethernetは年平均58%くらい成長し、2015年にはテラビット、2020年には10テラビットをサポートしなくてはいけない」とした。ただ、同氏はその際、スピードだけでなく、コストや電力消費量など経済面での最適性も考慮していく必要があるとした。

同氏は最後に、今後はデータセンターの利用を想定し、400GbEの仕様を策定する必要があるとし、その際考慮するポイントとして、新しい媒体や通信距離の最適化、複数の物理レイヤへの対応、それらが一緒に動く、柔軟でスケーラブルなアーテクチャの開発だという。同氏は中でも、300m-2kmの通信距離をカバーする Single Mode Fiberが有力だとした。

400GbE