三井不動産は、日本橋室町三丁目で推進中の「(仮称)日本橋室町三丁目地区市街地再開発計画」にて、都市ガスを燃料とした大型の高効率発電機(ガスコジェネレーションシステム)を導入し、地域電気供給事業・熱供給事業を実施すると発表した。

「(仮称)日本橋室町三丁目地区市街地再開発計画」位置

同事業では開発区域内や区域外の当社所有・管理施設はもとより、それ以外の既存オフィスビルや商業施設等に対しても「電気」と「熱」を供給。都心部の既存街区に自立分散型電源による電気を供給する事業は日本初で、既成市街地のスマート化を推進するとともに都市防災力を飛躍的に高める新たな取り組みとなる。なお、このエネルギー供給事業は、東京ガスと共同で検討を進め、2019年供給開始予定となっている。

同開発で実施する電気供給事業は、特定の区域に対して、自営の発電機および送電線によって電気を供給する「特定電気事業」で、2011年8月の法改正を受けて、自己電源比率要件が100%から50%以上に緩和、東京電力などの系統電力との併用(エネルギー複線化)が可能となった。

熱供給事業は、発電時に発生する廃熱を有効活用して空調などに利用する温水・冷水・蒸気をつくり、開発区域外の既存建物に対して供給。既存街区を含めた建物総延床面積約100万平方メートルに対して、電気・熱を供給することが可能で、電力供給可能量は約5万KW。

日中は高効率発電と系統電力による電気、夜間は系統電力のみによる電気と賢く選択できる点が大きな特徴で、発電には東日本大震災時にも供給が途絶えなかった「非発認定中圧ガスライン」を利用することで、非常時に系統電力の供給が停止した場合でもガス発電により各ビルのBCPに必要な電気の供給が可能となる。

さらに、最先端の高効率熱源設備による環境性能の高い熱を開発区域外の既存の建物等に優先的に供給し、発電時の廃熱を残さず使い切り、エネルギーの最大有効利用を図るなど、既存街区を取り込むことで、開発区域内だけでなく周辺エリアも省エネ・省CO2に配慮した環境共生型の街へと進化させるもの。同社試算では、エリア全体の省エネ、CO2削減効果は約3割。

同事業による取り組みは、既存街区を含めたエリア全体をスマートシティへ進化させるものであり、現在、国や東京都が進めている「面的街づくりによる低炭素化」を実現するもの。また、都市防災力を高め、東京の国際競争力向上に大きく寄与する。

同社は、今後も「創エネ」・「省エネ」・「蓄エネ」・「エネルギーマネジメント」等によるスマート化や都市防災の面的整備を推進し、都心部における他のエリアにおいてもスマートシティ化を実現していく。