日本HPは、昨年の11月28日に発表した「HPミッションクリティカルシステム戦略」に基づき、それを実現するためのHP-UXの新機能としての「ダイナミックメモリー」、およびHP-UX上で動作するデータベースを高速化するリファレンスモデル「HP Super DB」を発表した。
「HPミッションクリティカルシステム戦略」は、これまでのような新しいシステムを構築するにあたって、スクラップ&ビルドを繰り返すのではなく、既存システムを活用しつつ、最先端の技術を導入できるプラットフォーム「持続的成長システム」を目指すもの。そのためのプロジェクトが「Odyssey」だ。
「ダイナミックメモリー」は、HP-UX上の仮想化技術である「vPars V6」の新機能として提供されるもので、仮想環境上で動的なメモリーリソースの変更ができる。たとえば、動作中のアプリAからアプリBに、オンラインで指示することにより、メモリの割り当て量を動的に移動できる。
また、HP-UX 11i v3では、OSの設計変更も行われ、これまでのHP-UX 11i v1、v2までは、OSと各機能は一体化しており、新機能を追加するには、OS自体のバージョンアップが必要だったが、HP-UX 11i v3では、各機能をモジュール化しており、追加したい機能のモジュールだけを追加できるようになっている。そのため、OSをバージョンアップすることなく、モジュールの追加だけで新機能を利用することが可能になるという。
そのほか、HP-UX 11i v3の新機能として、2種類の異なる特性をもったHP-UX仮想化ソリューションを同一物理サーバ上に共存が可能な「HP-UX vParsとHP Integrity Virtual Machinesの共存」や、「再起動の高速化モジュール」が新たに提供される。
一方、「HP Super DB」は、同社のストレージ「HP 3PAR StoreServ Utility Storage」と、HP-UXを搭載するサーバ「HP Integrity Superdome 2」を組み合わせて利用する場合、HPのエンジニアが性能チューニングし、最適な設計へのアセスメントを無償で提供するもの。HPによれば、「HP Super DB」を利用すれば、2008年モデルのHP-UXサーバとストレージを組み合わせたもの比べ、コア単位で3倍の性能向上が見込めるという。最小構成価格は6,400万円~。
また同社では、コア性能がアップしたことで、サーバの集約化も可能になり、コアベースのソフトウェアライセンスも1/3に削減できるとしている。
日本HP エンタープライズ・インフラストラクチャー事業統括 ビジネスクリティカルシステム事業本部 事業本部長 手島主税氏は、「これまでも、ミッションクリティカルの分野において仮想化を利用したいというニーズはあったが、お客様はパフォーマンス、障害に対する不安をもたれていた。ダイナミックメモリーは、その不安に応えるための技術で、システムを停止することなく、メモリの追加が行えるHP独自の技術だ。また、HP Super DBは、HP-UXの資産を簡単に高速化できる。サーバは、CPUを換えればパフォーマンスが上がるが、DBはチューニングが必要だ。HP Super DBはその課題に対して開発した技術だ」と語った。
また同氏は「すべての業種でミッションクリティカル市場は伸びていく」と述べ、「Project Odyssey」で、x86向けのミッションクリティカルプラットフォームを開発し、HP-UXの開発と並行して、x86ベースのミッションクリティカル市場の拡大も進めていく意向を示した。
また、日本HP エンタープライズ・インフラストラクチャー事業統括 ビジネスクリティカルシステム製品本部 製品企画部 日野創氏は「HP Super DB」の特徴について、「HP Super DBは、特殊のマシンを作らないことがコンセプトで、HP Superdome 2と HP 3PARストレージを利用できる。他社の場合は専用のアプライアンスのため、別途、監視等の運用環境の構築が必要だが、HP Super DBは現在の運用環境をそのまま利用できる」と「HP Super DB」のメリットを述べた。