Xilinxは4月3日(米国時間)、同社の設計ツール「Vivado Design Suite」のメジャーバージョンアップの一部として、生産性向上に向けた2つの大きな進歩について発表した。
新たに発表された「Vivado Design Suite 2013.1」は、IPを中核とする新しいデザイン環境によりシステムインテグレーションに要する期間を短縮するとともに、C/C++によるシステムレベルデザインと高位合成(HLS)を加速するライブラリを幅広く提供する。
同社では、高度に統合された複雑なデザインをAll Programmable FPGAデバイス上でより短期間に構築できるよう、Vivado IPインテグレータ(IPI)のアーリーアクセスリリースを提供してきた。Vivado IPIにより、RTLやXilinxのIP、サードパーティIP、C/C++合成IPのインテグレーションを加速することが可能になるという。
Vivado IPIは、ARM AXIインターコネクトやIP-XACTのIPパッケージングメタデータといった業界標準に基づいており、XilinxのAll Programmable ソリューションに最適化されたデザインを、妥当性を検証しながら組み立てることができるほか、Vivadoにて開発されたIPインテグレータは、所定のデバイスとプラットフォームに特化したインタラクティブでグラフィカルかつスクリプトが利用可能であり、IPに対応した自動AXIインターコネクトや1クリックIPサブシステム生成、リアルタイムDRC、インタフェース変更、デバッグ機能などがサポートされているため、All Programmable SoC「Zynq-7000」をターゲットとするユーザーは、デュアルコアARMプロセッシングシステムとハイパフォーマンスFPGAファブリックをターゲットとするソフトウェアおよびハードウェアIPの検索、再利用、インテグレーションをより迅速に行えるようになったと同社では説明する。
また、C/C++によるシステムレベルデザインと高位合成(HLS)を加速させるため、Vivado HLSライブラリを拡張し、業界標準の浮動小数点math.h演算とリアルタイムビデオプロセッシング機能に対応させた。現在、Vivado HLSを評価している350以上のアクティブユーザーと、1000社を超える顧客は、デュアルコアARMプロセッシングシステム上で動作するエンベデッドビジョン向けOpenCV環境に統合されたビデオプロセッシング機能をすぐに利用でき、これによりハードウェアアクセラレーションを活用できるようのになるため、既存のC/C++アルゴリズムと比べパフォーマンスを最高で100倍向上させたソリューションを実現できるようになるという。さらにVivado HLSは、システムの検証とインプリメンテーションに要する時間をRTLデザインエントリーフローと比べて、最高で100倍加速させることが可能で、Zynq-7000をターゲットとするデザインチームがデュアルコアARMプロセッシングシステム向けのC/C++コードをより短期間で開発できるようになるほか、演算集約的な機能もハイパフォーマンスFPGAファブリックによって自動的に加速されることになるという。
なお、Vivado Design Suite 2013.1は、すでに同社のWebサイトからダウンロード可能なほか、IPインテグレータとZynq-7000に対応したDesign Suiteについては、販売代理店より入手可能だという。